クラウドファンディングの会計処理~3つの注意点~

更新日:2018年06月28日

クラウドファンディングの会計処理

昨今、さまざまなプロジェクトが立ち上げられ話題となっているクラウドファンディング。個人・法人問わず、その名前を耳にすることも多いでしょう。今回は、クラウドファンディングに関わる会計処理の注意点を中心にご紹介します。これからクラウドファンディングでの資金調達を検討している企業様や個人事業主様は、ぜひ参考にしてみてください。※2018年6月28日に公開

会計処理の前に知っておきたいこと

クラウドファンディングは、大きく分けて「投資タイプ」と「非投資タイプ」の2種あります。両者の違いは、リターン(クラウドファンディングに参加したことによる見返り)がお金であるか否かです。投資タイプはお金でのリターンが確約されていますが、非投資タイプは、お金でのリターンは保証されておらず、商品やサービスなどによるリターンが一般的です(参考:クラウドファンディングの種類~投資タイプと非投資タイプの特徴まとめ~)。このことから、タイプによって会計処理の方法や税金の取り扱いに違いがあります。ここからはそれぞれの注意点などを押さえていきましょう。

【その1】タイプによって会計上の処理は異なる

クラウドファンディングの種類によって、会計処理は以下のように異なります。

投資タイプ「貸付型」の会計処理

「貸付型」の場合、従来の貸付金および借入金として会計処理します。また、資金調達で得た資金を元手に実現した事業で利益を得た場合は、法人は法人税、個人事業主は所得税の課税対象となります。

投資タイプ「ファンド型」「株式型」の会計処理

「ファンド型」と「株式型」も特別な考え方は不要となり、新株発行に関わる会計処理を適用し、貸借対照表の貸方科目で扱います。また、法人の場合は損益計算書に収益として計上され、個人の場合は雑所得として扱います。このとき、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以上になった場合は、確定申告の必要性がでてきますので、分配金の金額と他の所得についても確認しておきましょう。

非投資タイプ「寄付型」の会計処理

「寄付型」は最終的にサービスや商品の提供がリターンとしてあるため、会計処理上は通常の物品の売買と変わらない扱いとなります。また「寄付型」は、税金について注意が必要となりますので、後の【注意点その3】にてご紹介します。

【その2】リターンができない場合の処理

先の【その1】の会計処理についてはいずれもクラウドファンディングによる資金調達後のリターンが、予定通り実施される場合について述べています。しかし、投資を募っていたときはお金やサービスなどによるリターンを予定していたもののが、実際は事業が軌道に乗らず、リターンができなかったというケースもあります。この場合、出資者との話し合いなどにもよりますが、返金する場合は「前受金」を減らす処理をすることになります。また、返金を必要としない場合は、「前受金」を取り消し、「受贈益」として処理します。

【その3】個人・法人ごとに税金の種類が変わる「寄付型」

前述した「寄付型」は、個人・法人のどちらから資金調達をするか、または個人・法人のどちらが資金調達するのかによって税金の種類が異なり、主には次4つのタイプに分類されます。

個人が法人から

一時所得扱いとなり、資金調達を行った個人には所得税がかかります。

法人が法人から

法人が寄付を受けた場合、贈与とみなされ受贈益が増えるため、法人税が発生します。

法人が個人から

「法人が法人から」と同様の扱いになります。

個人が個人から

個人同士の場合は贈与扱いとなり、寄付を受けた個人に贈与税がかかります。

参加する前に会計処理を確認しましょう

クラウドファンディングは比較的に新しい資金調達の方法であることから、会計処理上での齟齬が発生しやすいケースが多くあります。クラウドファンディングに関わる前に、どのような会計処理が求められるのかを確認し、注意点を理解しておきましょう。 また、リスクヘッジとしてクラウドファンディングに参加する際は、あらかじめ専門家に相談することをおすすめします。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加