修繕費と資本的支出の見分け方
更新日:2018年04月20日
修繕費とは、建物や機械・車両、器具・備品などの有形固定資産を修理・メンテナンスするための費用のことであり、それを表す勘定科目でもあります。
目次
修繕費に該当するものの例
- 維持管理費用
- 保守費用
- オーバーホール費用
- 解体費
- 壁の塗替え費用
- 原状回復費用
- 車検費用
- 設備移転費用
- 定期点検費用 電話移設工事費用
- 点検整備費用
- 部品取り替え費用
- メンテナンス料
修繕費に当てはまらないと資本的支出
どんな修繕をしても全額が修繕費になるのか(経費にできるのか)と言うと、そうではありません。修繕とは、あくまで「原状回復」のことです。その修繕をすることによって資産の価値が増加したり、資産の耐用年数が延びたりした場合は、税法上で修繕費とは認められず「資本的支出」として扱われます。資本的支出になる場合は、固定資産と同様に耐用年数に従って減価償却する必要があります。
※資本的支出に該当するもの
- 建物の避難階段の取り付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
- 用途変更のための模様替えなど、改造または改装に直接要した金額
- 機械の部分品を特に品質または性能の高いものに取り替えた場合で、その取り替えの金額のうち通常の取り替えの金額を超える部分の金額
修繕費と資本的支出の具体例
たとえば、剥がれた壁の塗替え費用は修繕費になりますが、併せて耐震補強や防水加工を施すと資本的支出となります(壁の価値が高まったとみなされる)。修繕費か資本的支出にかを見分けるポイントは、「機能を元に戻すだけ」なのか「機能が当初より向上する」のかが判断です。
※参考「国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」
※修繕費か資本的支出か分からない場合
修繕費になるのか資本的支出になるのか判断できない場合は、以下の基準に則って考えます。それでもまだ不明な場合は、修繕にかかった費用の30%、またはその資産の前期末の取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費とし、残りを資本的支出とします。
- 20万円未満の修繕である、または3年に1度程度の修繕である
⇒ 修繕費
- (明らかに資本的支出ではない場合)60万円未満の修繕である、または修繕費がその資産の前期末の取得価額の10%以下である
⇒ 修繕費
修繕費と資本的支出のまとめ
- 修繕費とは、建物や機械・車両、器具・備品などの有形固定資産を修理・メンテナンスするための費用のことである。
- 金額が20万円未満で、おおむね3年以内に繰り返されるような修繕に使われた費用は修繕費の勘定科目で処理される。
- その修繕をすることによって資産価値が増加したり、資産の耐用年数が延びたりした場合は、税法上では修繕費とは認められず「資本的支出」という扱いになる。
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この記事の監修者
牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。
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当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
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