会議費とはどんな経費?具体例や接待交際費との違いも解説

更新日:2024年10月16日

会議費

会議費とは、会場利用料やプロジェクターのレンタル代のように、打ち合わせで発生する費用を計上する勘定科目を指します。飲食代を含む場合は、一人あたりにかかった金額によって接待交際費とされることもあるため、注意が必要です。本記事では、会議費の具体例や接待交際費との違いについて詳しく解説します。

目次

会議費とは?

会議費とは、主に会社の経営や業務に関する打ち合わせで発生する費用のことです。自社の役員や従業員間で実施する打ち合わせだけでなく、社外の取引先との打ち合わせで発生した費用も会議費として計上することがあります。

なお、会議費は損益計算書に計上する勘定科目のひとつです。販売費及び一般管理費のなかで、処理されます。

会議費の具体例

  • 貸し会議室やホールなどの会場利用料
  • 会議で使用するプロジェクターのレンタル代
  • 会議中に提供する弁当やコーヒーなどの飲食代
  • 会議資料を作成するのにかかる費用
  • 取引先との商談にかかる費用
  • 遠方で会議を行う際の宿泊費

このように、業務上必要とされる会議や打ち合わせにかかる費用は、会議費として処理します。飲食代の金額に規定はありませんが、社会通念上、一人あたり3,000円程度と考えるのが妥当でしょう。

(接待)交際費とは

接待交際費(交際費)は、会議費と混同しやすい勘定科目のひとつです。交際費とは、取引先・クライアントや関係者との関係を良好に保つために使った金額を計上する際の勘定科目を指します。

交際費として計上する可能性のある費用の具体例として、自社の株主との会食費用、取引先を招待したイベントにおける会食費用、取引先へお中元やお歳暮を贈る際に発生した費用などが挙げられます。

会議費と交際費の違いは?

会議費と交際費を区別するポイントとして、以下が挙げられます。

  • 用途は何か
  • 一人あたり10,000円以下か

それぞれ確認していきましょう。

用途は何か

用途によって、会議費と交際費を区別することがあります。基本的に、打ち合わせや会議目的の場合は会議費、接待などを目的とする場合は交際費です。

国税庁のサイトでも、「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為」のために支出するものを「交際費等」と定義しています。

参考)国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

一人あたり10,000円以下か

飲食費を計上する際は、金額が「一人あたり10,000円以下」か、「一人あたり10,000円超」か、で会議費と交際費を区分します。

たとえば、一人あたりにかかった費用が10,000円以下であれば、取引先との会食にかかった費用も会議費として計上可能です。それに対し、取引先と一人あたり10,000円超の会食を実施した場合、交際費としなければなりません。

なお、一人あたり10,000円を超えた場合は、「超えた部分」だけでなく、対象の費用全額が交際費の対象です。

参考)中小企業庁「交際費課税の特例」

10,000円は税抜?税込?

一人あたり10,000円は、消費税抜きの金額なのでしょうか。それとも、消費税込みなのでしょうか。その判断は、会社の経理方式によって異なります。税抜経理であれば税抜10,000円(税込11,000円)になり、税込経理なら税抜9,090円※(税込10,000円)です。この点だけで考えると、税抜経理の方がお得ですね。※10,000÷1.1(1円未満を切り捨て)

参考)消費税の仕訳~税込経理と税抜経理のメリットとデメリット~

飲食代を経費計上する際のポイント

飲食代を交際費にせず、会議費などで経費に計上する際は、主に以下の点を明らかにしなければなりません。

  • 飲食などのあった年月日
  • 参加した者などの氏名・名称や関係
  • 参加した者の数
  • 飲食などに要した金額(一人あたりにかかった費用が10,000円以下)
  • 飲食店の名前と所在地

そのため、上記を記載した書類を保存しておくことが必要です。

会議費の計上で押さえておくこと

会議費を計上するにあたって、以下の点を押さえておきましょう。

  • 社内の飲み会は会議費ではない
  • 上限金額を間違えない
  • 会議費は交際費よりも節税につながる可能性がある
  • 個人事業主も同様に会議費を計上できる

それぞれ解説します。

社内の飲み会は会議費ではない

社内の従業員だけで開催される飲み会において、一人10,000円以下の飲食代が発生しても会議費にはなりません。この場合は金額に関わらず、交際費や福利厚生費として処理します。

上限金額を間違えない

会議費で計上できるか交際費にしなければならないのか迷った際、上限金額を間違えないことが大切です。

もともと、交際費などの範囲から除かれる飲食費は、5,000円が上限でした。令和6年度の税制改正大綱により、2024年4月1日からは一人あたり10,000円以下まで、交際費にせず損金とできるようになっています。

会議費は交際費よりも節税につながる可能性がある

会議費は交際費よりも節税につながる可能性がある点も、理解しておきましょう。会議費に該当する場合は全額損金として計上できるのに対し、交際費は原則として全額損金不算入です。

損金の額が大きいほど、法人税上の利益が少なくなり、納める税金の額も減ります。そのため、会議費で計上した方が納税額を抑えられるでしょう。

なお、交際費であっても、資本金・出資金の額によって一部を損金に計上できる場合があります。

参考)国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

個人事業主も同様に会議費を計上できる

個人事業主は、法人と同様に打ち合わせにかかった費用を会議費として計上できます。また、会食にかかった費用を交際費にする際にも全額経費にできる点は、法人と異なる部分です。

つまり、個人事業主は打ち合わせや接待にかかった費用をすべて経費として計上できます。ただし、事業に無関係なものは経費として認められないため、計上する際に注意しましょう。

会議や打ち合わせの場所の条件は?

会議や打ち合わせ場所について、望ましいのは社内の会議室や貸し会議室、ホールなどです。喫茶店やレストランなどで行われた場合の飲食代も会議費の対象になりえます。

ただし、お酒の提供が前提となる場所(特にバーやクラブ)での飲食代は、業務上の打ち合わせの場所として適切ではないことから、会議費として認められない可能性があります。

会議費を計上する際の仕訳例

ここから、クライアントとの打ち合わせで弁当類を提供するケースと、社外の貸し会議室で社内会議を実施するケースで、会議費を計上する際の仕訳の例を紹介します。

クライアントとの打ち合わせで弁当類を提供するケース

クライアントと自社で昼に打ち合わせする際、弁当や飲み物を提供するケースで考えてみましょう。弁当代・飲み物代(15,000円)を現金で支払う場合、仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方 備考
会議費 15,000円 現金 15,000円 8/7、A社との打ち合わせ時に弁当類提供

なお、今回のケースで参加者が5人の場合、一人あたり10,000円を下回る(3,000円)ため会議費として計上できます。

社外の貸し会議室で社内会議を実施するケース

出張中に、急遽で決めなければならない事項が発生し、貸し会議室(15,000円/1h)を利用して社内会議を実施する際のケースを考えてみましょう。現金で利用料30,000円を支払う場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方 備考
会議費 30,000円 現金 30,000円 8/10、〇〇貸し会議室で2hミーティング

このように、飲食を伴う場合も伴わない場合も、基本的な計上方法は同じです。

会議費まとめ

会議費とは、主に会社の経営や業務に関する打ち合わせで発生する費用のことです。貸し会議室などの会場利用料や会議で使用するプロジェクターのレンタル代だけでなく、会議中に提供する弁当やコーヒー代といった飲食代も会議費に含まれる場合があります。

打ち合わせに使われるか、接待に使われるかが、交際費との主な違いです。また、飲食費が参加者一人あたり10,000円以内か、超えるかによって、会議費と交際費を区分することもあります。

取引先などと会食を実施した際の費用を考える際は、金額や参加人数などにも注目しましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒103-0006
東京都中央区日本橋富沢町12-8 Biz-ark日本橋6F
所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

弊社では、正確かつ有益な情報発信を実践しており、そのために様々な機関の情報も参照しています。

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