追徴課税とは?計算方法は?税率や払えない場合について解説

更新日:2025年07月29日

追徴課税

追徴課税とは、税務申告の誤りや漏れが発覚した際に課される追加の税金です。不足していた税金を納めるだけでなく、加算税や延滞税といったペナルティも発生するため、企業の資金繰りに影響を与えかねません。本記事では、追徴課税の基礎知識として、その種類や計算方法、対象となる期間を解説します。さらに、万が一支払いが困難になった場合の対処法や、未然に防ぐための対策についても紹介します。

目次

「追徴課税」とは

追徴課税とは、過去の申告や納付に誤りがあった場合、またはそもそも申告をしていなかった場合に、本来納めるべき税額との差額分を追加で徴収される税金です。この差額は、納税者による修正申告や税務署による更正処分によって確定します。

さらに、差額に加えて延滞税や加算税、利子税といった附帯税が課されるため、当初の税額より多く支払うことになります。

追徴課税の納付は原則として現金一括払いであり、通知を受けてから1ヶ月以内に納付しなければなりません。納付期限を過ぎた場合には、滞納処分として財産を差し押さえられることもあります。

誤った申告は予期せぬ税負担を招くため、日ごろから正しい申告と納税を心がけることが重要です。

追徴課税の主な種類と計算方法

追徴課税が発生する場合、本来納めるべき税額の不足分に加えて、その内容に応じた「附帯税(ふたいぜい)」が課されます。附帯税にはいくつかの種類があり、代表的なものは次のとおりです。

  • 延滞税
  • 利子税
  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

このうち延滞税や利子税は、納付が遅れたことに対する利息に近い性質があります。一方、各種加算税は、申告義務の不履行などに対する行政上のペナルティとしての性格が強いものです。

これらはそれぞれ課税される要件や税率、計算方法が異なるため、その内容を正しく理解しておくことが求められます。以下で、それぞれ見ていきましょう。

延滞税

延滞税とは、税金を法定期限までに納めなかった場合に課されるもので、納付の遅れに応じて税額が増える仕組みです。

延滞税の計算は、以下の式に基づいて算出されます。

延滞税 =(納税額 × 延滞税の税率 × 延滞した日数) ÷ 365日

この計算で用いられる税率は、納付期限からの経過期間に応じて2段階で設定されています。

  • 納付期限の翌日から2ヶ月以内

    納付期限の翌日から2ヶ月以内は、「年7.3%」または「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低いほうが適用されます。

  • 納付期限の翌日から2ヶ月を経過した後

    2ヶ月超は「年14.6%」または「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほうが適用されます。

「延滞税特例基準割合」とは、銀行の短期貸出金利などをもとに毎年見直される指標です。

利子税

利子税は、延納を申請して税務署の許可を得た場合に発生する税金です。税金の一括納付が困難な場合、一定の条件を満たすことで延納が認められます。その際、延納期間に応じて利子税が課されます。

利子税の計算方法は、以下のとおりです。

利子税 = (納税額 × 利子税の税率 × 延納した日数) ÷ 365日

利子税の税率は、以下のうち低いほうが適用されます。

  • 本則:年7.3%
  • 利子税特例基準割合:平均貸付割合+0.5%(令和7年分の場合:年0.9%)

利子税は、税務署から延納の許可を得た場合のみ発生し、損金算入が可能です。なお、延滞税とは性質や扱いが異なるため、納税計画を立てる際には両者の違いにも注意が必要です。

例えば、確定申告の納税期限に間に合わず、なおかつ猶予申請をしなかった場合や猶予申請が認められなかった場合には、延滞税が課されます。一方、事前に延納を申請し税務署の許可を得ている場合は、課されるのは延滞税ではなく利子税です。

利子税は、延滞税より税率が低く設定されています。そのため、納税に猶予が必要な場合は、できるだけ早めに延納を申請し、利子税の適用を受けるようにしましょう。

過少申告加算税

申告した税額が実際より少なかった場合は、後から正しい内容で「修正申告」をし、不足税額を納める必要があります。

税務署から調査の事前通知が届く前に自主的に修正申告をした場合には、過少申告加算税は課されません。ただし、調査通知後や税務調査中に税務署から更正処分の予告を受けたうえで修正申告をした場合には、過少申告加算税が課されることになります。

【過少申告加算税の税率】

修正申告等の時期 基本税率 追加本税のうち「期限内申告税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超える部分の税率
法定申告期限等の翌日〜調査通知前 0% -
税務調査通知後〜調査による更正等予知前 5% 10%
税務調査による更正等予知以後 10% 15%

【計算例】

仮に、当初申告で税額を80万円としていて、税務調査により実際には180万円であると判明した場合、追加本税額は100万円となります。

「期限内申告税額80万円」>「50万円」のため、追加本税額は100万円のうち80万円までが基本税率の対象となります。残りの20万円は、加重税率の対象です。

  • 80万円 × 10% = 8万円
  • 20万円 × 15% = 3万円
  • 合計:過少申告加算税 = 11万円

なお、2024年以降は、帳簿の不備がある場合に過少申告加算税が加重される措置が導入されています。

【帳簿不備に対する加重措置(2024年以降)】

税務署の調査における帳簿状況 新たに納める税金に対する加算税
税務署から帳簿の提示・提出を求められたのに応じなかった場合 10%
帳簿の売上金額等が、本来記載すべき額の 2分の1未満 であった場合
帳簿の売上金額等が、本来記載すべき額の 3分の2未満 であった場合 5%

こうしたリスクを避けるためにも、帳簿や申告内容は日ごろから正確に管理することが重要です。

申告の誤りに気づいた場合は、税務署から調査の通知が届く前に自主的に修正申告を行いましょう。その段階であれば、過少申告加算税は課されません。

ただし、追加で納める税金には、納付の遅れに応じて延滞税がかかるため注意が必要です。余計な税負担を防ぐためにも、できるだけ早めに対応しましょう。

無申告加算税

無申告加算税とは、納税期限までに確定申告をしなかった場合に、本税とは別に課される加算税です。追加で徴収される税額に一定の税率を乗じて計算されます。

無申告加算税の計算方法は、以下のとおりです。

無申告加算税 = 追加で徴収される税額 × 税率

税率は、申告のタイミングによって次のように異なります。

【無申告加算税の税率】

申告のタイミング 追加で徴収される税額の区分 税率
税務署の調査通知前に自主的に期限後申告 全額 5%
調査通知後だが、調査による更正・決定を予知する前に期限後申告 50万円まで 10%
50万円超~300万円までの部分 15%
300万円超の部分(2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの) 25%
税務署の調査後に申告、または税務署から税額決定を受けた場合 50万円まで 15%
50万円超~300万円までの部分 20%
300万円超の部分(2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの) 30%

【無申告加算税の加重措置について】
過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課された人が、再び期限を過ぎて申告した場合には、通常の税率に加えて10%が加算されます。特に2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについては、前年・前々年の履歴もチェックの対象となるため注意が必要です。

また、帳簿の提示がない、あるいは売上記載が不十分な場合も5〜10%が加算されます。

【無申告加算税が課されないケース】

以下のすべてに該当する場合、期限後申告であっても無申告加算税は課されません。

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告している
  • 税金を法定納期限までに全額納付している
  • 過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがない

申告の遅れに気づいた場合は、速やかに対応し、無申告加算税の負担を抑えるようにしましょう。

不納付加算税

不納付加算税は、源泉徴収した所得税を納税期限までに納めなかった場合に課される税金です。企業や事業者が、従業員などから天引きした所得税を期限内に納付しなかった場合に対象となります。

計算方法は、以下のとおりです。

不納付加算税 = 期限までに納付していなかった源泉所得税 × 税率

税率は納付のタイミングによって異なります。税務署の指摘を受けて納付した場合は10%、自主的に納付した場合は5%です。

ただし、以下のいずれかに該当する場合は、不納付加算税は課されません。

  • 不納付加算税の金額が5,000円未満である場合
  • 納期限から1ヶ月以内に納付し、過去1年間に期限後納付の事例がない場合

源泉徴収義務者は、日ごろから納付スケジュールを正確に管理する必要があります。

重加算税

重加算税は、仮装や隠蔽などの不正行為があった場合に課される税金です。過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代えて適用されます。不正が認められると、通常の加算税よりも高い税率が課されるのが特徴です。

計算式は、以下のとおりです。

重加算税 = 不足税額 × 税率

税率は加算税の種類に応じて異なります。過少申告や不納付の場合は35%、無申告の場合は40%が基本です。

ただし、過去5年以内(または前年度・前々年度)に無申告加算税・重加算税を課されたことがある場合や電子帳簿保存法に違反していたなどの場合は、上記の税率にさらに10%が加算されます。

追徴課税の対象期間は原則過去3年

追徴課税の対象となる期間は、原則として直近3期分です。税務調査では、通常この期間の申告内容が調査されます。

ただし、過去に追徴課税を受けている場合や申告漏れが大きいと判断されるケースでは、調査対象期間が5期、あるいは重加算税を課されている場合は7期にまで延長されることがあります。

そのため、申告漏れや無申告が判明した際には、できる限り早く修正申告をすることが重要です。

追徴課税を払わないとどうなる?

追徴課税を放置すると、財産の差し押さえにいたる可能性があります。まず督促状が送付され、それでも納付がない場合は、預貯金や不動産、給与、動産などが差し押さえられる流れです。換価された資産が税金の支払いに充てられます。

給与まで差し押さえられる事態になれば、生活にも大きな影響が及びかねません。支払いは原則として一括で求められるため、滞納を放置するのは避けるべきです。経済的損失を回避するためにも、早期の対応が求められます。

自己破産では免責にならない追徴課税

追徴課税は、自己破産手続きによっても原則として免れません。税金が、法律で定められた非免責債権に該当するためです。

個人が自己破産を選択した場合、クレジットカードの支払いやローンなど、多くの債務は免責される可能性があります。しかし、追徴課税を含む税金は非免責債権であるため、支払い義務は免れません。

結果として、信用情報に事故情報が登録されて借り入れが制限されるうえ、税負担はそのまま残るという不利益を被るおそれがあります。

法人の場合は、破産によって会社が消滅するため、法人税などは免責されるのが一般的です。ただし、代表者が納税保証書を提出している場合や無限責任社員としての立場にあるときは、個人に納税義務が及びます。

追徴課税が払えない場合の対処法

追徴課税の通知を受けたものの支払う余裕がない場合は、早めの対応が欠かせません。納付が遅れると延滞税が加算され、さらに厳しい状況に陥るおそれがあります。まずは利用できる制度を確認し、納付の猶予や不服申し立てなどの選択肢を検討しましょう。

これらの手続きを正しく理解し、状況に応じた対応を取ることが重要です。以下では、追徴課税に対処するための主な制度や不服申し立ての手続きについて解説します。

納税の猶予・換価の猶予を活用する

追徴課税の納付が困難な場合、まず「納税の猶予」や「換価の猶予」を制度として申請することを検討しましょう。

納税の猶予は、災害や病気、事業廃止などやむを得ない理由がある場合に適用されるもので、申請が認められれば最大1〜2年の分割納付が可能となり、延滞税も減免されることがあります。

換価の猶予は、一括納付により事業や生活の維持が困難になる場合に、差し押さえや財産の売却を一時的に止め、分割納付を認める制度です。

どちらも申請には期限があり、原則として担保の提供が求められますが、状況によっては担保が不要となる場合もあります。

制度が利用できない場合は、分割払いについて税務署へ相談することも一つの選択となります。ただし、税務署の裁量次第のため、必ずしも認められるとは限りません。支払いが難しいと感じたときは、これらの制度の活用や相談を早めに検討しておくとよいでしょう。

不服申し立ての手続きをする

追徴課税の内容に納得できない場合は、正式な手続きを通じて異議の申し立てができます。

まず、処分通知を受けた翌日から3ヶ月以内に、税務署長に「再調査の請求」が可能です。この再調査の請求は、税務署長が行った処分の見直しを求める手続きです。

次に、再調査の結果に不満がある場合や再調査を経ずに進めたい場合は、「審査請求」を国税不服審判所に対して行います。審査請求の期限は、処分通知を受けた日の翌日から3ヶ月以内です。

また、再調査の請求をした場合、その決定に不服があるときは再調査決定の通知を受けた日の翌日から1ヶ月以内に審査請求ができます。

裁決に不服がある場合は、通知の翌日から6ヶ月以内に訴訟の提起が可能です。

参考)国税庁「税務署長の処分に不服があるとき」

追徴課税を避けるための具体策

追徴課税を防ぐには、正確な会計処理に加え、専門家によるチェック体制を整えることが欠かせません。申告内容に誤りや見落としがあると、追徴課税だけでなく、重加算税などの追加徴収が発生する可能性もあります。

こうしたリスクを回避するには、日常業務を丁寧に行うとともに税務の専門家と連携して正確な処理を心がけることが大切です。

以下では、追徴課税のリスクを抑えるために有効な対策を、経理業務と外部サポートの2つの観点から解説します。

経理業務の確実性を高める

追徴課税を避けるには、経理業務の正確性を高めることが重要です。誤った会計処理は申告漏れや計算ミスにつながります。

手作業での記帳や紙の管理はミスの原因となるため、クラウド会計システムなどの導入を検討し、業務の自動化とリアルタイム管理を進めましょう。入力ミスを防ぎ、効率的で正確な処理が可能になります。

加えて、請求書は発行後すぐに売上として計上し、自動で台帳に反映される仕組みを導入することで管理精度が向上します。また、入金後の速やかな仕訳も大切です。処理を後回しにすると勘定科目の判断が難しくなり、記帳漏れの原因となります。

これらの基本を徹底することで、経理の質が向上し、追徴課税のリスクを大きく軽減できるでしょう。

税理士や専門家に相談する

追徴課税を避けるには、税理士や専門家の支援を受けることが有効です。専門知識をもとに帳簿や仕訳の誤りを早期に見つけられ、正確な申告につながります。税理士の確認が入ることで、税務署から信頼され、調査の対象となるリスクも抑えられます。

税務調査に備えて帳簿や書類を整えておくことも重要です。不安がある場合は、想定問答を含めた対応手順について、事前に税理士や専門家と相談しながら準備を進めましょう。

追徴課税まとめ

追徴課税は申告ミスや遅延に伴う大きなリスクであり、延滞税や各種加算税が課されるため、企業経営に深刻な影響を及ぼすこともあります。

追徴課税には複数の種類があり、それぞれ税率や計算方法が異なります。また、調査対象期間が最長で7年に及ぶケースもあり、事前の対策が欠かせません。

支払いが困難な場合は猶予制度などの対処法がありますが、何より重要なのは未然に防ぐことです。日々の経理業務の正確さを保ち、会計ソフトの導入や専門家の助言を活用して、適切な体制を構築しましょう。

このメディアの監修者

元吉 孝子

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役
2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計、簿記、ファクタリングなどの資金調達に関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は400本以上にのぼる。FP2級。

運営企業

当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。

項目 内容
会社名 株式会社フリーウェイジャパン
法人番号 1011101045361
事業内容
  • 会計・財務・資金調達に関するメディア運営
  • 中小事業者・会計事務所向け業務系システムの開発・販売
本社所在地 〒160-0022
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所属団体 一般社団法人Fintech協会
顧問弁護士 AZX総合法律事務所

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