決算書とは何か~業績報告、与信管理、税金の申告で使われる~
2018.03.22

決算書とは、会社の「資産や負債などの財政状態(資産・負債・純資産)」「経営成績(売上高・費用・利益)」「株主の持ち分(出資分と蓄積した利益)の変動」などを把握できる書類です。
決算書の3つのポイント
- 決算書の用途は大きく分けて3つあり、業績報告・与信管理・税金の申告。
- 決算書は通称で、金商法では有価証券報告書を提出する会社が作るのが「財務諸表」、それ以外の会社が作るのが「計算書類」。
- 決算書のうち、代表的な決算書3つ(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)を「財務三表」という。
決算書は何に使われるのか
仕事やニュースなので、よく耳にする決算書。実際に、どのような場面で活用されているのか、大きく3つに分けて紹介します。株主や銀行からのスムーズな資金調達、
経営者による株主への業績報告
株主が経営者のみのようなオーナー経営をしている会社は別として、経営者は株主に対して業績を報告しなければなりません。株主は、様々な選択肢を比較した上で、その会社に投資しています。その比較のもとになる情報を提供するのが株主総会です。多くの会社では年に一回、株主総会を開催して株主を集めて、その場で経営者などが会社の状況について説明しますが、そのときの資料として決算書が使われます。ただし、決算書だけでは分からない情報もあるため、あくまでも決算書は資料の一部です。
与信管理
与信管理の例として、銀行による融資審査と、得意先の信用調査を挙げます。
銀行から資金を借りる場合、決算書の提出を求められます。その内容を銀行が審査して、融資できるか否かを決定します。ただし、この場合の決算書は、後述する決算報告書、法人税申告書、勘定科目内訳明細書のセットを指すことも多いため、銀行から決算書の提出を求められた場合には注意しましょう。
得意先の信用調査にも決算書を使います。その得意先と取引を開始しても問題ないのかを判断する際の情報源です。有価証券報告書を提出している会社でない限りは、決算書は広く公開されていません。そういった得意先の信用調査をするときは、調査会社に依頼することもあります。
税金の申告
会社は、事業年度が終わってから2ヶ月以内に、法人税を確定申告しなければなりません。その際、決算書、内訳書、申告書を税務署に提出します。内訳書は、勘定科目内訳明細書のことで、決算書の勘定科目の明細書です。たとえば、売掛金について得意先ごとに残高を記載したりします。申告書は、法人税申告書のことです。なお、税務署に提出する場合は、決算書ではなく決算報告書といいます。
財務諸表と計算書類の定義
有価証券報告書を提出する会社(上場企業など)が作成するのが「財務諸表」、それ以外の会社が作るのが「計算書類」です。別の言い方をすると、金融商品取引法で定められているのが「財務諸表」で、会社法で規定されているのが「計算書類」です。ちなみに、計算書類に「事業報告」と「附属明細書(計算書類・事業報告)」まで含むと「計算書類等」と呼ばれます。それぞれの内訳は以下のとおりです。
財務諸表
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 製造原価報告書(製造業のみ、損益計算書に添付)
- キャッシュフロー計算書
- 株主資本等変動計算書
- 附属明細表
計算書類
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
財務三表とは
決算書のうち代表的な3つを財務三表と呼びます。財務三表に含まれるのは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書です。ちなみに、キャッシュ・フロー計算書を作成する義務があるのは、有価証券報告書の提出義務がある会社(上場企業など)のみになります。キャッシュ・フロー計算書は資金繰りに役立つため、義務がなくても作っておいた方が良いかもしれません。
関連記事
同じカテゴリの記事