代表取締役とは~社長との違い、2名以上いる場合について~

更新日:2018年03月05日

関係図

代表取締役とは、株式会社の代表者のことです。その会社において、業務執行におけるすべての権限を持っています。というと「社長」と代表取締役が同じものだと捉えてしまいそうですが、実は違います。※2018年3月5日に更新

代表取締役の3つのポイント

  • 代表取締役は取締役会によって選出された会社の代表者。株主総会や取締役会で決議された意思決定に沿って業務を執行する権限を有する。
  • 代表取締役と社長は異なるもの。前者は登記上の職位だが、後者は法律的な定めがなく、社内的な職責であるため、必ずしも社長が代表取締役に就くわけではない。
  • 代表取締役は1名以上を設置することも可能だが、実印の共有は不可であり、定款の変更が必要であるなど、注意すべき点がある。

代表取締役はどのように決まるのか

会社法では、代表取締役は「取締役会によって会社の代表者に選出された人である」と定められています。取締役会を設置している場合、3名以上の取締役が必要です。代表取締役は、その中から選ばれます。なお登記上、代表取締役は、取締役の欄とは別に記載されます。

代表取締役なら何でも自由に決められる?

株式会社の代表というと、あらゆる権限を行使できると考えられがちですが、実際はそうではありません。会社経営に関する重要事項については、原則として株主総会や取締役会で決定されます。株主総会や取締役会で決議された意思決定にもとづき、業務を執行する権限を有するのが代表取締役なのです。代表取締役は3ヶ月に1回以上、監督役である取締役会に対して状況報告する義務があります。

代表取締役と社長の違い

一般的に「代表取締役」と「社長」は混同されやすいでしょう。実際に社長が代表取締役を務めるケースは多くありますが、必ずしも社長が代表取締役になる必要はありません。これらは明確に区別することができます。前述の通り、「代表取締役」は法律で定められた登記上の職位です。一方の「社長」は法律上で定められた職位ではなく、社内的なルールによって会社の代表者として設置される職責上の立場と言えます。「代表取締役社長」という肩書きがよく見られるため、代表取締役=社長と連想しがちですが、「代表取締役会長」といった形で社長以外の人が代表取締役を務めることも可能なのです。

代表取締役は2名以上でもよい?

代表取締役は複数人でも設置することができます。たとえば仲間とともに起業した場合など、全員を代表取締役にしておきたいというケースもあるかもしれません。法人登記の上では問題ありませんが、複数名の代表取締役を設置する際の注意点は、あらかじめ理解しておきましょう。

会社の実印は共有できない

同じ会社の代表取締役でも、1つの実印を共有することはできません。実印は代表取締役1人につき、1つと決められています。つまり、代表取締役が複数名いるのであれば、その数だけ実印が必要になるのです。しかし複数の実印を登録するとなると、互いに相談せず個人の判断で重要な契約を締結したりすることも可能になるため、トラブルを防ぐためにも避けたほうが無難でしょう。

内外に混乱を生じさせるリスクがある

社内の従業員や外部の取引先からしてみると、代表取締役が複数名いるという体制はビジネスを進めるうえでややこしく、どちらの決裁をとるべきか不明瞭です。登記上は複数の代表取締役がいるとしても、それぞれ意思決定の権限を持つ範囲を明示し、対外的にも混乱を来さない体制にしておくほうが望ましいといえます。

定款を変更しなければならない

代表取締役を複数名おきたい場合は、定款の変更が必要です。定款には代表取締役の選出に関する記載があるため、「代表取締役1名」とされている箇所を「1名以上」に変更しましょう。

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この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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