株式会社と持分会社の違い~認知度、役員の任期について~
2018.03.14

株式会社は出資者から資金を調達し、事業を運営する会社形態です。株式を公開している(市場に流通させている)会社の場合、誰でも株式を購入でき、出資者になれます。非公開の会社の株式は市場では買えず、株主から買うといった方法で出資者になれます。ちなみに世界初の株式会社は、17世紀に設立された「東インド会社」だそうです。※2018年3月14日に更新
株式会社の3つのポイント
- 株式会社は、出資者(株主)から調達した資金で経営者が事業を運営し、その利益を出資者に還元するという仕組みのもとに成り立つ会社形態。
- 株式会社は、社会的な認知度・信用度の高さを活かして取引先の拡大や資金調達手段の確保がしやすく、個人事業主と比べて税制上のメリットがある。
- 一方で他の会社形態に比べて設立費用がかかり、決算公告が義務づけられているため、手間やコストの負担がある。
株式会社は「所有と経営が分離」されている
会社形態は、「持分会社(合資会社・合名会社・合同会社を含む)」と「株式会社」に大別できます。持分会社の場合は、出資者自身が利益配分や権限に対して決定権を持ち、業務を執行します。一方の株式会社は、原則的に出資者と経営を執り行う取締役が区別される「所有と経営の分離」がなされています。つまり株式会社の仕組みは、出資者(株主)から調達した資金で経営者が事業を運営し、その利益を出資者に還元するという成り立ちになっているのです。
中小規模の株式会社の多くは「所有と経営が一緒」
上述のとおり、株式会社は「所有と経営が分離されている」はずです。しかし、中小企業の大多数では、所有と経営は結合しています。いわゆるオーナー経営者が社長や代表取締役を務めている会社であれば、出資者=経営者になるのです。本来、そういった場合のために「有限会社」という会社形態がありましたが、後述のような理由もあり、所有と経営が分離していない株式会社の設立が相次ぎました。それもあってか、会社法が施行された2006年5月以降、有限会社の新設は認められなくなりました。
株式会社は様々な機関を設置できる
株式会社の特徴として、株主総会や取締役会、監査役会などの様々な機関が設けられる点があります。新会社法で定められた最低限のルールを順守した上で、事業規模や株式譲渡の制限などに応じた柔軟な機関設計が可能です。
株式会社は社会的な認知度・信用度が高い
株式会社のメリットは社会的な認知度・信用度が高く、取引先の拡大や資金調達手段の確保を比較的スムーズに進めやすいことでしょう。かつては1,000万円以上の資本金がなければ株式会社を設立できませんでしたが、資本金規制が撤廃されて1円からでも株式会社を設立できるようになりました。このような背景もあり、個人事業主よりも取引先や融資先などから信用を得やすい株式会社を選択するケースは増えています。
売上が一定規模を超えたら株式会社の方が得
個人事業主の場合は売上に比例した税率が課される超過累進課税になりますが、法人税は売上にかかわらず一定の税率を保つため、年間売上が一定額を超えるようになれば会社を設立したほうがメリットは大きいといえます。赤字の繰越控除についても、個人事業主は3年までであるのに対し、法人の場合は9年まで可能です。なお、株式会社は出資者に対して有限責任の形をとるため、もし会社が倒産しても自らの出資額に応じた責任を負うのみで、それ以上の負債を負う必要はありません。
株式会社の設立はコスト負担が大きい
株式会社の場合、会社設立に際するコスト負担が大きい点はデメリットかもしれません。具体的には、定款の認証にかかる費用として6万円、法人登記の際の登録免許税として15万円といったように、同じ会社設立であっても合同会社などに比べると負担額は大きくなります。また決算公告の義務があるたえ、毎年、決算書を公表しなくてはなりません(とはいえ、ほとんどの中小企業は決算公告していませんが…)。こういった手間やコストは、株式会社ならではの特徴といえます。
株式会社の役員には任期がある
株式会社の役員には任期があります。2006年の会社法改正によって、役員の改選は10年まで延長可能になりましたが、延長後は必ず改選を実施しなければなりません。これを怠ると過料を課され、最終の改選から12年が経つと「みなし解散」となります。役員を変更した際には法人登記が必要であり、登録免許税がかかります。新規設立はできませんが、有限会社の役員には任期がありません。合同会社、合名会社、合資会社の場合には役員ではなく「社員」ですが、これも任期がありません。
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