減価償却で固定資産を費用にする

減価償却とは、設備投資などして購入した固定資産を、その耐用年数に応じて分割して費用計上する会計処理のことです。※2017年11月27日に更新

減価償却の考え方

ある程度、長期にわたって使うことが想定された固定資産は、そのタイミングですべてを費用として計上するのではなく、まずは資産計上します。その後に、使える年数に応じて減価償却費として費用するのです。これが、減価償却の考え方となります。固定資産の価値は年月が経過すれば下がっていきますので (老朽化などの理由で) 、その分だけ減価するというわけです。資産に計上されている価値を実態に合わせるのが減価償却ともいえます。

なぜ、減価償却が必要なのか?

たとえば、A社が2,000万円の設備を導入したとします。その事業年度の決算で2,000万円をすべて費用に計上すると、その事業年度の利益が大きく減ってしまう可能性が高くなります。翌年度以降は、大きな利益が出てしまうかもしれません。どんな設備も1年使って終わりということはなく、当然A社も長期間使用する想定で設備を導入しています。そのため、費用を設備投資した事業年度だけに計上すると、実際の財務状況と合わなくなってしまいます。そこで、用いられるのが減価償却です。

減価償却の対象となる「減価償却資産」とは?

減価償却の対象になる資産(減価償却資産)は、事業の業務のために用いられる資産であり、時の経過などによってその価値が減っていく資産です。たとえば、経年によって価値が減少しにくい(もしくは価値が高まる可能性がある)土地や借地権、骨董品や絵画などは、減価償却資産にはなりません。

耐用年数とは?

減価償却資産を業務に利用できる年数を、耐用年数と言います。耐用年数は、税法上で一律に定められており(法定耐用年数)、実際の使用年数や耐久年数とは異なる点に要注意です。つまり、みなしで価値を決めていることになります。減価償却は、時の経過によって価値が減少する資産を取得した場合に、その取得費用を耐用年数に応じて費用として計上していきます。主な減価償却資産の法定耐用年数は、国税庁のホームページ「耐用年数表」を参照してください。

減価償却の会計処理の方法

減価償却を会計処理する方法として、「定額法」と「定率法」があります。法定耐用年数と同様に、固定資産の実際の価値とは関係なく、一律で減価償却します。 定額法と定率法の違いを理解するために、内容を簡素化して説明します。耐用年数や償却率などは、減価償却資産の取得時期などによって異なりますので、国税庁のホームページを参照してください。ちなみに、仕訳について知りたい方は「減価償却の仕訳(直接法と間接法)」を参考に。

定額法

減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

定額法とは、減価償却費が毎年均等になるように配分する方法です。取得価格を法定耐用年数の期間で同額ずつ償却していきます。たとえば、法定耐用年数10年の設備を2,000万円で購入して定額法で減価償却する場合、毎年の減価償却費は200万円(2,000万円÷10(年))です。ただし、10年目の減価償却費は200万円-1円になります(備忘価額1円を残すため)。

定額法の償却率は、1÷法定耐用年数で計算できます。10年なら0.100(1÷10)、5年なら0.200(1÷5) です。上の例であれば、減価償却費を2,000万円✕0.100でも計算できます。

定率法

減価償却費 = 期首未償却残高 × 定率法の償却率

定率法とは、減価償却費が最初の年ほど多く、後に減少していく方法です。毎年、未償却の金額から一定の割合で償却していきます。たとえば、法定耐用年数10年の設備を2,000万円で購入して定率法で減価償却する場合、1年目の減価償却費は400万円(2,000万円✕0.200)です。翌年の減価償却費は320万円((2,000万円-400万円)✕0.200)になります。

定率法の償却率は、法定耐用年数によって決められています。

償却保証額

定率法では「償却保証額」が設けられています。減価償却費が償却保証額を下回る場合は、前期の未償却残高に「償却保証率」を掛けて、減価償却費を計算しなおします(翌期以降の減価償却費も同じ金額を償却していくことになります)。なお、償却保証額を計算するには、取得価額に「償却保証率」を掛けるだけです。償却保証率は、耐用年数ごとに決められています。上の例では、償却保証率が0.06552で、償却保証額は131万4百円(2,000万円✕0.06552) です。定率法でも、備忘価額1円まで償却します。

備忘価額の1円とは?

平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産については、1円を残して減価償却できることになっています。この1円が備忘価額です。その名のとおり、減価償却資産の存在を忘れないよう、帳簿に1円を残しておきます。上の例での2,000万円の設備であれば、1999万9999円まで償却できるということです。では、備忘価額の1円が帳簿から消えるのはいつかと言うと、減価償却資産それ自体が存在しなくなったときです。減価償却資産を売却や廃棄などした場合に、備忘価額1年も帳簿上からいなくなります。

減価償却の節税効果とキャッシュフロー

現金で固定資産を買ったとします。購入した時点で現金が出ていきますので、キャッシュフローが減ります。一方、その後に費用計上される減価償却費は、キャッシュフローには影響がありません。つまり、減価償却費は、節税効果があり、しかも現金流出を伴わない費用(非現金支出費用)なのです。ちなみに、キャッシュフロー計算書を間接法で作る場合には、減価償却費を税引前当期純利益に加算します。

減価償却の方法や耐用年数を自由に決められる?

減価償却には節税効果があるため、業績が好調な年には多めに減価償却費を計上したい、と考える方もいるでしょう。それは可能なのでしょうか?同じ時期に導入した設備でも、稼働状況などの違いによって老朽化の度合いは異なります。つまり、減価償却される金額に差が出るということです。そういった実情にあわせて、減価償却する方法や耐用年数を会社が独自に決められます。しかし実務的には、定額法か定率法、法定耐用年数で減価償却するようです。なぜなら、税金を申告するときに、独自に決めた減価償却方法や耐用年数が認められないと、税法にそった方法で減価償却費を計算しなおさなければならないからです。国税庁の立場でも、個々の資産を評価するのは手間でしかありません。よって、客観的に減価償却できるようにするため、定額法や定率法、法定耐用年数が決められているのです。

まとめ

  • 減価償却とは、固定資産を、法定耐用年数に応じて分割して費用化する会計処理である。方法には定額法と定率法がある。
  • 減価償却資産とは、事業の業務のために用いられる資産であり、時の経過などによってその価値が減っていく資産である。
  • 法定耐用年数、定額法や定率法は、税法上で決められている。固定資産の実際の耐久年数や価値を計算できるわけではない。

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