利子所得とは?計算方法や税率、非課税制度について解説
更新日:2026年04月09日

利子所得とは10種類ある所得のうちの一つで、預貯金や公社債の利子および、公社債投信または公募公社債等運用投信の収益分配金等が該当します。この記事では利子所得の概要および税金の計算方法、確定申告が必要なケース、2つの非課税制度を解説します。資産を運用している方や確定申告を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
利子所得とは
利子所得とは、預貯金や公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる所得のことです。利子所得に対しては、原則として所得税などの税金がかかります。
公社債とは、国・地方公共団体や企業などが資金を借り入れるために発行する、いわゆる「借用証書」のことです。また、合同運用信託は複数の委託者に信託された金銭を運用する仕組みを指します。
投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が投資・運用する商品のことです。
利子所得以外の所得の種類
日本では、利子所得を含めて10種類の所得が存在します。それぞれの概要を以下にまとめました。
| 所得の種類 | 概要 |
| 利子所得 | 預貯金や公社債の利子および合同運用信託または公社債投資信託もしくは、公募公社債等運用投資信託の収益の分配などから生じる所得 |
| 配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当および、証券投資信託(合同運用信託、公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託を除く)の収益の分配などから生じる所得 |
| 不動産所得 | 不動産および借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得 |
| 事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業など事業から生じる所得 |
| 給与所得 | 給与および賞与などの所得 |
| 退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当および、厚生年金保険法に基づく一時金などの所得 |
| 山林所得 | 5年を超えて所有していた山林の伐採譲渡および、立木のままでの譲渡により生ずる所得 |
| 譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得 |
| 一時所得 | 上記利子所得から譲渡所得に当てはまらないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもの 生命保険の一時金、懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金など |
| 雑所得 | 上記のいずれにも該当しないもの 公的年金、非営業用貸金の利子、原稿料や講演料、印税など |
利子所得と配当所得の違い
利子所得と配当所得の主な違いとして、収益源(どのようにして収益を得たか)が挙げられます。
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配などにかかる所得のことです。利子所得は国・地方公共団体や企業、金融機関から受け取る利息を対象とするのに対し、配当所得は企業から受け取る配当金などを対象としています。
また、利子所得は収入金額がそのまま対象となるのに対し、配当所得は収入から株式などを取得するために借りた金額に対する利子を引いた額が対象となることも異なる点です。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
利子所得に該当するもの・該当しないもの
ここから、利子所得に該当するものと該当しないものの具体例を紹介します。
利子所得に該当するもの
利子所得に該当するものには、以下があります。
- 預貯金(銀行預金・郵便貯金・勤務先預金)の利子
- 公社債の利子
- 公社債投資信託の収益分配金
- 公募公社債等運用投資信託の収益分配金
- 合同運用信託の収益分配金
- 抵当証券の利子
公社債投資信託とは、株式を一切組み入れず国債や社債など債券(公社債)を中心に運用する投資信託です。MRF(マネーリザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マーケット・ファンド)が該当します。
利子所得に該当しないもの
利子所得に該当しないものには、以下があります。
- 金銭の貸付金利子
- 役員や退職者、従業員家族などが預けた勤務先預金の利子
- 組合債等の利子
- 所得税等の還付加算金
金銭の貸付金利子は、事業所得または雑所得です。役員や退職者、従業員家族などが預けた勤務先預金の利子および組合債等の利子、所得税等の還付加算金は雑所得に分類されます。分類がわからない所得がある場合は、税理士などの専門家や税務署窓口で相談すると安心です。
利子所得の課税方法
利子所得の課税方法は、以下のとおりです。
- 源泉分離課税
- 総合課税
それぞれ解説します。
基本的に源泉分離課税で完結する
利子所得は、基本的に源泉分離課税で完結します。
源泉分離課税とは、他の所得と分けたうえで、所得を支払う側が支払時に一定の税率で所得税を源泉徴収することによって、所得税の納税が完結する制度のことです。所得税の源泉徴収とは、支払者が天引きして代わりに国に納付する仕組みを指します。
銀行の預金を例に、源泉分離課税の仕組みを考えてみましょう。
銀行は、利息を支払う際に所得税(2037年までは復興特別所得税も)を引いてから預金者の口座に入金します。銀行が源泉徴収した額を国に納付するため、預金者が特別な手続きをする必要はありません。
なお、所得税法第22条では、利子所得が総合課税の対象であることが定められています。それにもかかわらず、分離課税の対象となるのは、別途租税特別措置法第3条に規定があるためです。
例外的に総合課税の対象となる場合もある
利子所得は基本的に源泉分離課税の対象ですが、一定の関係者が受け取る社債の利子については、例外的に総合課税となる場合があるため注意しましょう。具体的なケースは、以下のとおりです。
- 特定公社債に該当しない公社債の利子で、2016年1月1日以後に支払われるもののうち、同族会社が発行した社債にかかる利子をその同族会社の判定に関与する一定の株主やその親族などが受け取るケース
- 2021年4月1日以後に支払われる、同族会社が発行した社債の利子で、その会社の支配関係の判定に関与する法人と特別の関係にある個人や、その親族などが受け取るケース
なお、総合課税とは、対象となる各種所得金額を合計して所得税額を計算する制度のことです。
利子所得と利子所得にかかる税金の計算方法
ここから、利子所得を計算する方法と、その利子所得にかかる税金を計算する方法について、具体的な数字を使って解説します。
利子所得の計算方法
利子などの収入が、そのまま利子所得としてみなされます。ただし、源泉徴収される前の金額である点に注意しましょう。
預金の利子は、「元本 × 金利 × 期間(日) ÷ 365日」で計算できます。たとえば、年率0.4%の定期預金で200万円を1年間預けた場合の利子所得は、8千円です(200万円 × 0.4% × 365日 ÷ 365日)。
利子所得にかかる税金の計算方法
利子所得にかかる税金の計算式は、以下のとおりです。
所得税(復興特別所得税含む) = 利子所得 × 15.315%
住民税 = 利子所得 × 5%
利子所得が8千円の場合、源泉徴収される所得税額は1,225円(8千円 × 15.315%)、住民税は400円です(8千円 × 5%)。また、利子所得に20.315%をかければ、所得税・復興特別所得税と住民税をまとめて計算できます。
利子所得を確定申告すべきか判断するポイント
源泉徴収で納税が完結する利子所得については、原則として確定申告できません。ただし、2016年1月1日以降に支払われる特定公社債などの利子については、納税者自身の判断で「確定申告すること」も、「しないこと」も選択できます。
また、総合課税の対象となる利子所得については確定申告が必要です。確定申告する際は、確定申告書の第一表に記載されている「所得金額等」の「利子」欄に数字を入れて、計算しましょう。
なお、確定申告書の提出方法には、スマートフォンやパソコンを使って「e-Tax」で提出する、郵送で所轄の税務署に提出する、所轄の税務署窓口に提出するなどがあります。
利子所得の確定申告に関する注意点
利子所得の確定申告が必要な場合には、期限に遅れないよう注意しましょう。
所得が生じた翌年2月16日から3月15日までに確定申告して、所得税を納付しなければなりません。対応が遅れると、無申告加算税や延滞税が課せられます。
また、源泉分離課税の預貯金の利子については、還付申告の対象外である点にも注意が必要です。還付申告とは、源泉徴収された所得税額が、実際に納めるべき所得税額より多いときに、確定申告することで納め過ぎた分の還付を受けられる制度を指します。
利子所得の2つの非課税制度
利子所得は原則として税金が課されますが、例外として以下の2つの非課税制度があります。
- 障害者等の少額貯蓄非課税制度
- 勤労者財産形成住宅貯蓄および勤労者財産形成年金貯蓄の利子非課税制度
ここでは、それぞれの制度を詳しく解説します。
1.障害者等の少額貯蓄非課税制度
障害者等の少額貯蓄非課税制度には、少額預金の利子所得等の非課税制度(いわゆるマル優)および、少額公債の利子の非課税制度(いわゆる特別マル優)があります。マル優では預貯金の元本350万円まで、特別マル優では国債と地方債の額面350万円まで、両方の制度を合わせると元本合計700万円までの利子等が非課税になります。
制度の対象となるのは、主に国内に住所がある個人のうち以下に該当する方です。
- 身体障害者手帳の交付を受けている人
- 遺族年金や寡婦年金を受けている妻
- 障害年金を受けている人
参考)国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
参考)国税庁「No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)」
2.勤労者財産形成住宅貯蓄および勤労者財産形成年金貯蓄の利子非課税制度
勤労者財産形成住宅貯蓄および勤労者財産形成年金貯蓄の利子非課税制度(いわゆる財形住宅貯蓄および財形年金貯蓄)では、それぞれの貯蓄の元本合計が550万円までの利子等が非課税になります。ただし、財形年金貯蓄のみで以下に該当するものについては、払込ベースで385万円まで非課税です。
- 生命保険の保険料
- 損害保険の保険料
- 生命共済の共済掛金
- 簡易保険の掛金
財形年金貯蓄制度を利用できるのは55歳未満の勤労者で、60歳以降の所定の時期から年金を受け取る目的として、5年以上の期間にわたり給与もしくは賞与からの天引きにより資金を積み立てている方です。
財形住宅貯蓄は、マイホームの取得またはリフォーム等を目的とし、55歳未満で5年以上の期間にわたり給与もしくは賞与からの天引きにより資金を積み立てている方が該当になります。
利子所得まとめ
利子所得とは、預貯金や公社債の利子などに関する所得を指します。配当所得は収入から株式などを取得するために借りた金額の利子を所得から引けるのに対し、利子所得は収入そのものが対象です。
利子所得は基本的に源泉分離課税の対象のため、確定申告する必要はありません。ただし、一部の利子については、確定申告してもしなくてもよい場合や、総合課税で確定申告しなければならない場合があります。
確定申告が必要な場合は、期限に遅れると無申告加算税や延滞税がかかる点に注意が必要です。利子所得がある場合は、確定申告が必要な利子なのかをあらかじめ確認しておきましょう。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
| 項目 | 内容 |
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