課税売上割合とは~計算方法、個別対応方式と一括比例配分方式について~

2020.07.29

課税売上割合

課税売上割合という言葉を聞いたことはありますか?課税売上割合は、消費税法における用語で、消費税の納税額を計算する際に使用されます。今回は、消費税の課税売上割合の計算方法や納税額への影響について解説します。

課税売上割合の計算方法

課税売上割合とは、課税期間中の売上全体のうちに課税売上高(消費税が課される売上高)が何%占めていたかを表す割合です。

課税売上割合の計算式

課税売上割合の計算は以下の通りです。

課税売上割合 =(課税売上高(税抜)+免税売上高)/(課税売上高(税抜)+免税売上高+非課税売上高)

なお、この算式による計算は次の点に注意が必要です。

  • 課税売上は税抜金額になります。
  • 免税売上は0%課税売上なので課税売上に含みます。
  • 分母の課税売上高、免税売上高、非課税売上高の合計は、総売上高と言います。総売上高は、非課税売上高を含み、”国内における資産の譲渡等(「事業者向け電気通信利用役務の提供」及び「特定役務の提供」を除きます)の対価の額の合計額”をいいます。一方、課税売上高とは、非課税売上高を含まず、”国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額”をいいます。
  • 総売上高と課税売上高の双方には、輸出取引等の免税売上高及び貸倒れになった売上高を含みます。また、売上については、返品、値引、割戻の金額を控除します。
  • 総売上高には非課税売上高を含みますが、不課税取引等の譲渡に係る売上高は含みません。
  • 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(資産の 譲渡等の対価として取得したものを除く)の譲渡及び特定の有価証券等の対価の額は、その譲渡対価の額の5%に相当する金額とされています。

なぜ課税売上割合が必要なのか?

消費税納税額の計算方法は原則課税方式の場合、「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引いて納税額を算定します。しかし、支払った消費税すべてを控除できない場合もあり、その際に正しく計算するために課税売上割合が必要になります。

支払った消費税の控除

課税売上割合によって支払った消費税が「全額控除できる事業者」と「一部しか控除できない事業者」の2つに分かれます。

事業者 控除できる消費税
課税売上高が5億円超、または課税売上割合が95%未満の事業者 一部控除不可
上記以外(課税売上高が5億円以下、かつ課税売上割合が95%以上の事業者) 全額控除可

課税売上割合が95%以上か未満かで消費税額の計算が変わるのがポイントとなります。なお、簡易課税を適用している場合は課税売上割合を考慮する必要はありません。

消費税の納税額の計算方法

原則課税適用事業者で、課税売上高が5億円超、または課税売上割合が95%未満の場合には「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の2種類の方法より選択して消費税額を計算します。本来、支払った消費税は預かった消費税から控除できますが、課税売上高が5億円超、又は課税売上割合が95%未満の事業者は消費税の全額控除が認められておらず、事業者が控除金額を算出するを選びます。なお、課税売上高5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の事業者は全額控除可能です。

個別対応方式

「課税仕入」を3つに区分して仕入税額控除を計算する方法です。

区分 内容 接続の可否
課税売上対応 課税売上のみに対応する課税仕入 全額控除
非課税売上対応 非課税売上のみに対応する課税仕入 控除不可
共通対応 上記以外の課税仕入 課税売上割合部分のみ控除可可

3つに区分するのは課税仕入のみで、非課税仕入、不課税仕入は関係ありません。3つの金額の合計が仕入税額控除額になります。

一括比例配分方式

「課税仕入」総額に対応する税額に課税売上割合を乗じることで、簡便的に仕入税額控除の額を算出する方法です。

一括比例配分方式の控除額=課税仕入総額に対する税額×課税売上割合

なお、個別対応方式から一括比例配分方式への変更に制限はありませんが、一括比例配分方式を採用した場合は2期間継続する必要があります。

課税売上割合に準ずる割合

「課税売上割合に準ずる割合」とは、消費税の仕入税額控除の計算で個別対応方式を採用している場合に、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に係る仕入税額控除の計算において、原則的な課税売上割合に代えて適用される割合のことです。例えば、土地を売却し、課税売上割合で計算すると控除額が低く計算されてしまうなど、課税売上割合に事業内容の実態が反映されていない場合に対応するため、課税売上割合よりもさらに合理的な割合である「課税売上割合に準ずる割合」を適応して控除対象仕入税額が計算できます。

課税売上割合に準ずる割合が認められる場合

事業者全体での原則的な課税売上割合が事業の実態に合っておらず、課税売上割合に代わる事業実態を反映する割合があり、その割合が合理的である場合に「課税売上割合に準ずる割合」が認められます。そして、課税売上割合に準ずる割合を適用するためには、納税地を所轄する税務署に「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出して、適用しようとする課税期間の末日までに税務署長の承認をうけておく必要があります。

課税売上割合のまとめ

課税売上割合という言葉自体、初めて聞いた方が多いかもしれません。消費税の計算を税理士に任せた場合でも、支払った消費税をどう経理処理するかによって納税額が変わる可能性がありますので、課税売上割合を意識して、正しい経理処理を行えるように心掛けましょう。

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