配当所得とは?計算方法や配当金の確定申告が必要かなどを解説
更新日:2026年04月14日

配当所得とは、上場株式への投資から得られる配当金や投資信託への投資で受け取れる分配金などの所得のことです。配当所得を得たときには、所得税および住民税を納める必要があります。配当所得の基本事項や計算方法、確定申告の要否などをあらかじめ確認し、投資方針に合った納税を目指しましょう。
目次
配当所得とは
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける利益の配当や剰余金の分配金などにかかわる所得をいいます。配当所得を得たときには、所得税および住民税を納めなければなりません。
自分に合った課税方式を正しく選択するには、税額算出のもととなる配当所得について知っておくことが重要です。ここではまず、配当所得の基本事項を確認しましょう。
配当所得に当てはまるもの
配当所得には、株式の配当金や投資信託の分配金のほかいくつかの種類があります。配当所得に該当する主な所得を以下で確認しましょう。
【配当所得に当てはまる主な所得】
- 株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当
- 剰余金の分配
- 基金利息
- 投資法人からの金銭の分配
- 投資信託(※)の収益の分配
※公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く
上記のほか、特定受益証券発行信託の収益分配なども配当所得に含まれます。分類が難しい所得がある場合には、税務署や税理士など専門家に確認すると安心です。
配当所得に当てはまらないもの
以下の所得は配当所得には該当しません。
【配当所得に当てはまらない主な所得】
- 協同組合の剰余金の分配
- 株主優待
株式投資をしていると、株主優待として配当金以外のモノやサービスが企業から株主に贈呈されることがあります。株主優待乗車券や株主優待入場券、株主優待施設利用券などは雑所得に分類されるため、配当所得には含まれないことを押さえておきましょう。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
利子所得との違い
配当所得と利子所得は、どちらも資産運用から得られる所得ですが、税務上の取り扱いには明確な違いがあります。主な相違点は「課税方式を選べるかどうか」と「必要経費として控除できるものがあるか」の2つです。
以下の表で両者の違いを確認しましょう。
【配当所得と利子所得の比較】
| 項目 | 配当所得 | 利子所得 |
| 所得の内容 | 株式の配当金、投資信託(※1)の収益分配金、投資法人からの金銭の分配など | 預貯金の利子、公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金など |
| 課税方式 | 申告不要制度、総合課税、申告分離課税の3つから選択可能(※2) | 原則として、源泉分離課税(※3) |
| 経費の扱い | 株式等を取得するための借入金利子を控除できる | 必要経費は認められない(借入金利子の控除不可) |
※1:公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く
※2:上場株式等の配当等の場合。非上場株式の配当等は総合課税が原則
※3:特定公社債の利子や公社債投資信託の収益分配金は、申告分離課税または申告不要制度を選択可能
上場株式等の配当金は、受取時に20.315%が源泉徴収されるため、そのまま申告不要とすることもできます。しかし、あえて確定申告を行えば、総合課税で配当控除を受けたり、申告分離課税で株式の売却損と相殺したりすることが可能です。
これに対して、銀行預金の利息などの利子所得は、受取時に20.315%が源泉徴収された時点で課税関係が完結します。確定申告で税金を取り戻す方法は基本的にありません。また、利子所得では借入金の利子を経費として差し引くこともできません。
投資信託の分配金を受け取っている方は、その商品が「株式投資信託」なのか「公社債投資信託」なのかによって所得区分が変わる点にも注意が必要です。目論見書や運用報告書で確認し、自身の所得がどちらに該当するかを正しく把握したうえで、適切な申告方法を選びましょう。
配当所得は確定申告が基本的に不要
上場株式等の配当金については、受け取る時点ですでに20.315%の税金が差し引かれており、多くの場合、確定申告を行う必要はありません。
この仕組みを「源泉徴収」といいます。配当金や株式投資信託の分配金が支払われる際、所得税15.315%と住民税5%があらかじめ控除された金額が口座に入金されます。
「特定口座(源泉徴収あり)」を利用している場合、証券会社が税額計算から納付までを代行するため、投資家が自ら税務署で手続きを行う必要はありません。
ただし、株式の種類や保有割合によっては申告義務が生じることもあります。どのようなケースで申告が「不要」または「必要」になるのか、見ていきましょう。
確定申告が不要な状況
次のいずれかに当てはまる場合、配当所得について確定申告を行う義務はありません。
- 国内の証券取引所に上場している株式等から配当を受け取った場合(大口株主に該当しない方)
- 「特定口座(源泉徴収あり)」を通じて配当金を受け取っている場合
- 非上場株式であっても「少額配当」に該当する場合(1銘柄につき1回の配当金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下)
上場株式等の配当金は、支払われる時点で20.315%の税金がすでに控除されています。受け取った金額は「手取り額」であり、納税は完了している状態です。日本の個人投資家の大半はこのケースに当てはまるため、配当金だけを受け取っている限り、わざわざ申告手続きをする必要はありません。
なお、「申告不要」とはあくまで義務がないという意味です。確定申告をすることで税金が還付されるケースもあるため、申告しないことが必ずしも最善の方法とは限りません。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
確定申告が必要となる状況
以下のケースに該当する方は、確定申告を行わなければなりません。
- 非上場会社から配当金を受け取った場合(少額配当の要件を満たす場合を除く)
- 海外の証券会社を利用しており、配当金が日本国内で源泉徴収されていない場合
- 上場株式等であっても、発行済株式総数の3%以上を保有する「大口株主」に該当する場合
非上場株式の配当金には、所得税20.42%のみが源泉徴収され、住民税は天引きされません。そのため、住民税については自分で申告して納める必要があります。
海外証券口座を通じて受け取った配当は、現地で課税されることはあっても、日本の税金は差し引かれていません。日本の居住者である以上、国内で確定申告を行い、所得税・住民税を納付する義務があります。外国で課された税金については、「外国税額控除」を申告することで二重課税の調整を受けられる場合があります。
大口株主が受け取る配当金は、申告不要制度や申告分離課税を選択できず、必ず総合課税で申告しなければなりません。累進税率が適用されるため、所得水準によっては税負担が大きくなる点にも留意しておきましょう。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
配当所得について確定申告をすると得なケース
上場株式等の配当金は源泉徴収で納税が完了するため、原則として確定申告は必要ありません。しかし、あえて申告することで払いすぎた税金が戻ってきたり、将来の税負担を軽くできたりする場合があります。
確定申告によってメリットを得られる代表的なケースは、次の3つです。
- 配当控除の適用を受けられる場合
- 損益通算の適用を希望する場合
- 繰越控除の適用を希望する場合
それぞれの仕組みと活用のポイントを確認しましょう。
配当控除の適用を受けられる場合
総合課税を選んで確定申告をすると、「配当控除」という税額控除の適用を受けられます。これは、法人段階で課税された利益に対して、さらに個人の所得税・住民税が課される二重課税を調整するために設けられた制度です。
配当控除の控除率は課税所得金額によって異なります。1,000万円以下の部分については、所得税で配当所得の10%、住民税で2.8%が税額から直接差し引かれます。
たとえば、給与収入800万円の会社員で、各種控除後の課税所得が600万円だとしましょう。この場合、所得税率は20%ですが、配当控除10%を差し引くと配当所得に対する実質負担は10%になります。源泉徴収で天引きされている所得税率15.315%より低いため、確定申告をすれば差額が還付される計算です。
課税所得が330万円以下の方であれば、所得税率10%から配当控除10%を差し引くと実質ゼロとなり、所得税の負担なしで配当金を受け取れる可能性もあります。
ただし総合課税を選択した場合、住民税率は一律10%が適用されるため、配当控除2.8%を差し引いても7.2%の負担となります。この場合、申告不要制度の5%より高くなる点には注意が必要です。
所得税で得をしても住民税で損をするケースがあるため、両方を合算したトータルの税負担で判断しましょう。
参考)国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考)国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」
損益通算の適用を希望する場合
同じ年に株式を売却して損失が出ている場合、確定申告をすれば配当所得とその損失を相殺できます。これは「損益通算」と呼ばれる制度で、利益から損失を差し引くことで課税対象額が減り、結果として税負担が軽くなるという仕組みです。
たとえば、ある年に配当金を60万円受け取り、同じ年に保有株式を売却して40万円の損失が出たとします。損益通算をすると、課税対象となる所得は20万円(60万円−40万円)に圧縮されます。配当金60万円に対してすでに源泉徴収されていた税金のうち、40万円分に相当する約8万円(40万円×20.315%)が還付される計算です。
なお、損益通算を利用するには「申告分離課税」での確定申告が必要です。総合課税や申告不要制度を選んだ場合には、この制度は使えません。
繰越控除の適用を希望する場合
株式の売却で大きな損失が出た年は、その損失を翌年以降に持ち越して将来の利益と相殺できます。この仕組みを「繰越控除」といい、最長3年間にわたって損失の繰り越しが可能です。
たとえば、昨年の株式売却で100万円の損失が発生し、確定申告で繰越手続きをしたとしましょう。今年の配当所得が50万円あった場合、繰り越した損失と相殺することで今年の課税対象はゼロになります。配当金から天引きされていた税金は全額戻ってきますし、使いきれなかった残りの50万円は来年以降、さらに繰り越しが可能です。
繰越控除を適用するためには、損失が発生した年から毎年継続して確定申告を行う必要があります。また、損益通算と同じく「申告分離課税」を選択することが条件です。株式投資で損失を抱えている年があれば、たとえ利益が出ていなくても確定申告をしておくと、将来の節税につながる可能性があります。
配当所得における3つの課税方式
配当所得を得たら、所得税および住民税の納税が必要です。課税方式は原則として、「総合課税」「申告分離課税」「申告不要制度」の3つから投資家が選べます。
| 課税方式 | 概要 | 確定申告の要否 | 税率 |
| 総合課税 | 他の所得と合算して計算 | 必要 | 所得に応じた累進税率を適用 |
| 申告分離課税 | 他の所得とは分離して計算 | 必要 | 税率20.315% |
| 申告不要制度 | 源泉徴収で納税が完結 | 不要 | 税率20.315% |
どの方式を選ぶかによって納税の手間や納税方法、納税額が変わります。さらに、選択した課税方式によっては住民税の非課税判定や国民健康保険料等にも影響を及ぼす場合があるため、選択には注意を要します。そのため資産状況や収入額、投資方針などによって投資家に合った納税方式を選ぶことが肝心です。ここでは、3つの課税方式の概要を確認しましょう。
1.総合課税方式
総合課税方式とは、配当所得と他の所得とを合算し、税額を計算する方法をいいます。総合課税の対象となる所得は、以下の8つです。
【総合課税の対象となる所得】
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
総合課税方式のポイントは、確定申告をすることで配当控除を受けられる点です。申告することによって所得控除や配当控除、配当割(配当等の支払時に特別徴収された住民税)の控除なども受けられます。
ただし、総合課税で申告すると配当所得が個人住民税における「合計所得金額」に加算されます。その結果、扶養から外れてしまったり、国民健康保険料が上がったりする可能性があるため注意が必要です。
参考)水戸市「配当所得及び利子所得の課税について」
参考)国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」
2.申告分離課税方式
申告分離課税方式とは、他の所得金額と合計せず分離して税額を計算し、確定申告により納税する方法をいいます。税率は20%(2037年までは復興特別所得税が課されるため20.315%)です。
申告分離課税方式のポイントとしては、上場株式等の譲渡損失と配当所得で損益通算ができる点が挙げられます。損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺できる制度です。それにより所得額が減り、課税額の圧縮が期待できます。
一例として、5万円の譲渡損失が発生した年に10万円の配当金を受け取ったケースをみてみましょう。この場合、損益通算をしないと税額は2万円(10万円×20%)です。一方、損益通算をすると所得額が5万円(10万円-5万円)となり、税額は1万円(5万円×20%)に減ります。譲渡損失が発生しているなら、申告分離課税方式も検討してみるとよいでしょう。なお、申告分離課税方式を選択した場合、配当控除は受けられません。
分離課税で申告することを選択した上場株式等の配当等も、総合課税と同様に個人住民税における合計所得金額に含まれます。そのため、個人住民税の非課税判定や各種控除の適用、国民健康保険料等へ影響を及ぼす場合がある点に注意しましょう。
ただし、申告することによって所得控除や配当割額の適用を受けられるほか、同一年中または過去3年以内に生じた上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除もできるようになります。
3.申告不要制度
申告不要制度とは、源泉徴収により自動的に納税されるため確定申告が不要な制度です。源泉徴収では、利子や配当、給与、報酬などの所得を支払う人が所得税額を計算し、その額を支払金額からあらかじめ差し引きます。そのため、利子や配当等を受け取る人が確定申告をする必要はありません。
申告不要制度のポイントは、納税の手間を軽減できる点です。できるだけ投資の手間を抑えた資産運用を目指すなら、申告不要制度が選択肢となるでしょう。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
参考)国税庁「No.2220 総合課税制度」
参考)国税庁「No.2240 申告分離課税制度」
配当所得の課税方式と所得税、住民税の関係性
配当所得における所得税および住民税の税率は、課税方式や所得によって変わります。そのため選ぶ課税方式によっては、税額が高くなってしまうケースも少なくありません。税金を少しでも抑えたいと考えるなら、所得税と住民税の基本事項を確認し、所得や運用状況に合った課税方式を選ぶことが重要です。
なお、2023年分以降は所得税と住民税で同一の課税方式を選択しなければならないため、両方の税金をトータルで考慮して判断する必要があります。
ここでは、課税方式ごとの所得税および住民税の税率を詳しくみていきましょう。
所得税と住民税の仕組み
まずは課税方式別の所得税および住民税の税率を確認します。
| 総合課税 | 申告分離課税または申告不要制度 | |
| 所得税 | 5〜45% | 15% |
| 住民税(所得割) | 10% | 5% |
| 合計 | 15〜55% | 20%※ |
※2037年までは復興特別所得税0.315%が加算されるため、申告分離課税・申告不要制度の実質税率は20.315%が適用されます。
申告分離課税または申告不要制度を選択した場合、所得税と住民税の合計税率は一律20%です。総合課税では住民税は一律10%ですが、所得税率は課税所得金額によって5~45%と差があります。より税額を抑えるには、総合課税を選択した場合に所得税率がどのくらいになるかをあらかじめ確認することが重要です。
参考)国税庁「所得税の税率」
所得税
所得税率がどのくらいになるかを知るには、所得税の仕組みと概要を知っておく必要があります。所得税の総合課税で採用されている課税方式は、超過累進税率です。そのため、課税所得が多いほど税率が上がり税負担が増えます。課税所得金額と税率を以下で確認しましょう。
| 課税所得金額 | 総合課税税率 | 配当控除率 | 申告分離課税または申告不要制度 |
| 195万円以下 | 5% | 10% | 15%※ |
| 195万円超330万円以下 | 10% | ||
| 330万円超695万円以下 | 20% | ||
| 695万円超900万円以下 | 23% | ||
| 900万円超1000万円以下 | 33% | ||
| 1000万円超1800万円以下 | 5% | ||
| 1800万円超4000万円以下 | 40% | ||
| 4000万円超 | 45% |
※復興特別所得税0.315%を考慮せず。
(注)本表は課税所得金額を万円単位で区分した目安です。実際の税率は円単位の課税所得金額により判定されます。
所得税率に注目すると、課税所得金額が330万円以下なら総合課税、330万円超なら申告分離課税または申告不要制度を選択すると、配当所得にかかる税金を低く抑えられるように見えます。ここでポイントなのは、上場株式等の配当金を総合課税で納税した場合、配当控除を受けられる点です。
配当控除では、課税所得金額が1,000万円以下の場合には10%の税額控除が受けられます。この税額控除も考慮すると、課税所得金額が900万円以下までは総合課税を選んだ方が税額を抑えられることになります。
参考)国税庁「所得税の税率」
住民税
住民税は、課税所得金額による税率の変動はありません。課税方式ごとの住民税の税率は以下のとおりです。
| 課税所得金額 | 総合課税 | 配当控除 | 申告分離課税または申告不要制度 |
| 1000万円以下 | 10% | 2.8% | 5% |
| 1000万円超 | 1.4% |
住民税では、申告分離課税または申告不要制度の方が総合課税よりも税率が低いです。配当控除を考慮しても総合課税の税率は7.2%(10%-2.8%)にしかならないため、住民税の負担を軽減したいなら申告分離課税もしくは申告不要制度が選択肢となります。
所得税と住民税の課税方式は一致させる
課税方式を決定する際に気を付けたいのは、所得税と住民税の課税方式を一致させなければならない点です。
2022年までは所得税と住民税でそれぞれ有利な課税方式を選択することが可能でした。しかし2021年に「令和4年度税制改正の大綱」が発表されたことで、2023年分からは同一の課税方式で申告を行うと定められました。
この改正により、課税方式の選択はより慎重な判断が求められるようになりました。所得税で有利な総合課税を選ぶと住民税の負担が増え、住民税で有利な申告不要制度を選ぶと配当控除を受けられません。
税金を納めすぎないためには、自身の所得をもとに納税額シミュレーションをあらかじめ行ったうえで、課税方式を決定することが重要です。税額の計算に不安があるときには、税務署や税理士などの専門家に相談してみましょう。
参考)水戸市「配当所得及び利子所得の課税について」
参考)国税庁「住民税」
配当所得の計算方法
税額のシミュレーションをするには、配当所得の計算方法を知っておくことが重要です。配当所得は、以下の式で計算します。
配当所得=収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額)- 株式などを取得するための借入金の利子
ここでは配当所得の計算に必要な収入金額および、借入金の利子について詳しくみていきましょう。また、上場株式等と非上場株式等では源泉徴収の税率が異なるため、その違いについても確認します。
収入金額とは
配当所得における収入金額とは、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った収入をいいます。収入を受け取ったとされる時期は、配当の種類によって異なります。一例を以下で確認しましょう。
| 配当の種類 | 収入時期 |
| 通常配当 | 利益剰余金等の分配について、株主総会や正当な権限を有する機関において決議があった日 |
| 中間配当 | 取締役会において決議があった日(※1) |
| 投資信託等の収益分配金 | 信託期間中のものは収益計算満了の日(※2) |
※1:中間配当の請求権に関する効力の発生日を取締役会の決議で決定した場合には、その効力発生日となる
※2:信託の終了や一部解約となった場合、その終了日もしくは解散の日となる
収入金額を計算する際には、源泉徴収される前の税込金額を用います。税抜き金額を用いてしまうと、配当所得や税金額に差が生じてしまうため注意が必要です。
借入金の利子とは
借入金の利子とは、金融機関から借入をして株式等を取得した場合に、借入金にかかる利子のことをいいます。配当所得の計算では、この借入金の利子を配当所得から差し引くことができるのです。これにより所得額が減り、税額の減少につながります。投資にかかる借入がある場合には、しっかりと計上したいところです。
なお、借入金の利子として認められるのは、株式など配当所得を生ずべき元本のその年における保有期間に対応する部分に限られます。また、すでに譲渡した株式に係るものや申告不要制度を選択した配当に係るものは、収入金額からは差し引けません。
借入金の利子を控除できるのは、総合課税または申告分離課税を選択して確定申告を行う場合に限られる点にも注意しましょう。
参考)国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
株式等で変わる配当所得の源泉徴収の区分
上場株式等の配当等には、20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税率で源泉徴収がされています。所得税・住民税ともに配当の受取時点で天引きされているため、申告不要制度を利用すれば納税手続きは完了です。
非上場株式等の配当等には、20.42%の税率で所得税のみが源泉徴収されます。住民税は差し引かれていないため、原則として確定申告により所得税を精算し、あわせて住民税も申告しなければなりません。
ただし、「少額配当」に該当する場合は取り扱いが異なります。「少額配当」とは、1銘柄あたり1回の配当額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下のものをいいます。少額配当かどうかで申告の要否が変わるため、以下の表で確認して下さい。
| 項目 | 少額配当 | 少額配当以外 |
| 所得税 | 申告不要 | 申告必要 |
| 住民税 | 申告必要 | |
表でわかるとおり、少額配当でも住民税は申告が求められます。所得税の確定申告を省略する場合は、忘れずに市区町村に住民税を申告しましょう。
このように、保有する株式が上場株式か非上場株式かによって、源泉徴収の内容や確定申告の要否が異なります。自身が受け取る配当がどちらに該当するかを把握しておくことが重要です。
参考)越谷市「配当所得について」
参考)国税庁「令和6年分確定申告書作成コーナー配当金を受け取ったとき」
配当所得の控除や特例
配当所得には、いくつかの控除や特例があります。控除や特例を活用することで税額の圧縮や投資の手間の軽減が図れるため、より効率が良い資産運用を目指すことが可能です。
ここでは、「配当控除」「配当控除の対象・対象外となるもの」「上場株式等の配当所得の特例」「NISAの非課税特例」について紹介します。それぞれの概要を確認し、資産運用に上手に取り入れましょう。
配当控除
配当控除は、国内法人の配当所得について総合課税を選択した場合に、一定の金額を所得税および住民税から控除できる制度です。配当控除率は「課税所得金額」が1,000万円以下か1,000万円超かで分かれます。それぞれの所得控除率、住民税控除率は以下のとおりです。
| 課税所得金額 | 所得税控除率 | 住民税控除率 |
| 1,000万円以下 | 10% | 2.8% |
| 1,000万円超 | 配当所得のうち「課税所得金額-1,000万円」(A)の部分:5% 配当所得のうち(A)以外の部分:10% |
配当所得のうち「課税所得金額-1,000万円」(A)の部分:1.4% 配当所得のうち(A)以外の部分:2.8% |
なお、控除には所得額から控除を差し引く所得控除と、税額から控除額を差し引く税額控除の2種類があります。配当所得は税額控除のため、税額から直接引いて計算します。
配当控除の対象と対象外となるもの
配当控除はすべての配当所得に適用されるわけではありません。対象となるものと対象外となるものがあります。
【配当控除の対象となるもの】
- 日本国内に本店がある法人から受ける株式の配当金
- 株式投資信託の収益分配金
株式投資信託の分配金については、外貨建資産割合や非株式割合によって控除率が変わる場合があります。投資信託の目論見書等で確認しておくとよいでしょう。
【配当控除の対象外となるもの】
- J-REIT(不動産投資信託)の分配金
- 外国株式の配当金
- 申告分離課税を選択した配当所得
- 申告不要制度を選択した配当所得
J-REITの分配金は、法人税が課されていない利益から支払われるため、二重課税には該当せず配当控除の対象外となっています。また、外国株式の配当金も国内法人からの配当ではないため、配当控除の適用を受けられません。
配当控除を受けたい場合は、対象となる配当所得について総合課税を選択して確定申告をする必要があります。
上場株式等の配当所得の特例
上場株式等の配当所得の特例とは、上場株式等の配当等(一定の大口株主等が受ける上場株式等の配当等を除く)を受け取った場合、20%の源泉徴収を受けたうえで総合課税もしくは申告分離課税から選べる制度です。
この特例により手間をできるだけ抑えたい人は、原則として確定申告をしなくても配当所得の納税を完了できます。また、配当控除を受けたい人は総合課税、損益通算をしたい人は申告分離課税といった選択もできるため、投資方針や所得に合った納税ができる制度だといえるでしょう。
なお、発行済株式総数の3%以上を保有する大口株主が受け取る配当については、この特例の対象外となり、総合課税での申告が必要です。
NISAの非課税特例
NISA(ニーサ)とは、NISA口座内で取引した上場株式や投資信託から得られる配当金および分配金、譲渡益などにかかる20%の税金が一定期間一定金額まで非課税となる少額投資非課税制度です。
2024年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠が設けられています。年間投資枠は合計360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)で、生涯投資枠は1,800万円まで非課税で運用できます。また、非課税保有期間が無期限となり、より長期的な資産形成に活用しやすくなりました。
税金は投資におけるコストと考えられます。コストを抑えた資金効率の良い運用を目指すなら、ぜひNISA口座での取引を検討しましょう。
ただし、NISA口座で受け取った配当金を非課税にするには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。郵便局や銀行で受け取る方式を選択していると、NISA口座であっても配当金に課税されてしまうため注意が必要です。
参考)国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」
参考)国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
参考)金融庁「NISAとは?」
配当所得まとめ
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける利益の配当や剰余金の分配金などにかかわる所得のことです。具体的には、上場株式等の配当等や投資信託の分配金等が挙げられます。
上場株式等の配当金は受取時に20.315%が源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。ただし、非上場株式の配当を受け取った場合や、発行済株式総数の3%以上を保有する大口株主の場合などは申告が必要となることがあります。
上場株式等の配当等から得た所得は、総合課税または申告分離課税、申告不要制度の3つの課税方式から選択して納税できます。
配当控除を利用したい場合は、総合課税を選びましょう。積極的に投資を行っており譲渡損失との損益通算をしたいなら、申告分離課税が選択肢となります。手間を抑えたいのであれば、源泉徴収で納税が完了する申告不要制度が便利です。
なお、2023年分から所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました。総合課税を選ぶと配当控除のメリットがある一方、住民税も総合課税方式となるため国民健康保険料の増加や扶養判定への影響が生じる可能性があります。
どの課税方式を選ぶべきかは、所得額や投資方針などによって変わります。課税方式を選ぶにあたっては、配当控除などを考慮したうえで税額を試算してみましょう。自身での計算に不安を感じる場合には、税務署や税理士といった専門家に相談するのも選択肢の一つです。
また、NISA口座を利用すれば配当金を非課税で受け取れます。これから投資を始める方は、NISAの活用もあわせて検討してみてください。
このメディアの監修者

元吉 孝子 元吉孝子税理士事務所 代表
大学卒業後、一般事業会社の経理部門にてキャリアをスタート。その後、大手会計事務所にて15年間、医療機関に特化した会計・税務支援に従事し、開業から法人化、事業承継、相続対策まで、クライアントに寄り添う伴走者として経験を積む。
その後、千代田区の税理士法人に勤務し、EC事業や個人の相続案件に携わる。平成30年11月20日に税理士登録後も同法人でパートナー税理士を務め、通算16年間の勤務を通じて幅広い分野の専門知識を習得。
これまでの30年以上の経験を活かし、現在は自身の会計事務所を開設。お客様一人ひとりの視点に立ち、共に課題を解決していくことを目指している。
運営企業
当社、株式会社フリーウェイジャパンは、1991年に創業した企業です。創業当初から税理士事務所・税理士法人向けならびに中小事業者(中小企業および個人事業主)向けに、会計ソフトなどの業務系システムを開発・販売しています。2017年からは、会計・財務・資金調達などに関する情報を発信するメディアを運営しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社フリーウェイジャパン |
| 法人番号 | 1011101045361 |
| 事業内容 |
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| 本社所在地 | 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-5-6 キュープラザ新宿三丁目5階 |
| 所属団体 | 一般社団法人Fintech協会 |
| 顧問弁護士 | AZX総合法律事務所 |




