雑所得とは?確定申告の必要性や税率についても解説

更新日:2024年02月21日

雑所得とは

雑所得とは、他の9種類の所得に該当しない所得のことです。公的年金を受け取るケースと、公的年金以外の雑所得を受け取るケースによって扱いが異なります。

本記事で、雑所得で確定申告する必要性や、税率について確認していきましょう。

目次

雑所得とは

雑所得とは、10種類ある所得のうちのひとつの所得です。一般的に、所得は「収入」から「必要経費」を除いたものを指します。

国税庁によると、2021年分の申告納税者数のうち、雑所得者は給与所得者(39.8%)・事業所得者(26.7%)・不動産所得者(16.1%)に次いで、4番目に大きい割合(12.2%) を占めていました。

ここから、雑所得の定義や、雑所得の分類について確認していきましょう。

参考)国税庁「申告所得税標本調査結果 令和3年(第6図)申告納税者数の所得者区分別構成割合」

雑所得は他の9種類の所得に該当しない所得

雑所得は、以下の9種類の所得のいずれにも該当しない所得を指します。

所得 概要
利子所得 公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益分配などで生じる所得
配当所得 株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などによる所得
不動産所得 不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得
事業所得 商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得
給与所得 給料・賞与などの所得
退職所得 退職した際に受け取る所得
山林所得 山林を伐採して売ったり、立木のまま売ったりして得た所得
*取得後5年以内に譲渡して得た所得は事業所得もしくは雑所得
譲渡所得 事業用の固定資産・家庭用の資産などを売却した際の所得
一時所得 競馬の払戻金や懸賞の賞金、満期保険金などの所得

雑所得の具体例は公的年金、非営業用貸金の利子、原稿料やシェアリングエコノミーにかかる副業の所得などです。また、会社員が副業でネットショップを運営して得た収入や、FXで得た利益なども一般的に雑所得に分類されます。

雑所得の分類

雑所得は、以下の3つに分類できます。

  1. 公的年金等
  2. 業務にかかるもの
  3. その他

業務にかかるものとは、副業にかかる収入のうち、営利を目的に継続的に得るものです。分類によって、所得の計算方法が異なります。

また、雑所得の種類によって税金の徴収方法や税額の計算方法が異なる点も注意が必要です。

たとえば、公的年金や原稿料・講演料などは、原則として支払時に源泉徴収されます。源泉徴収とは、給与や報酬などを支払う際に支払者があらかじめ納税分を差し引くことです。

また、雑所得のうち、株式譲渡によるものや「一定の先物取引による所得」には申告分離課税が適用されます。一定の先物取引の具体例は、国内のオプション取引やFXなどです。申告分離課税とは、一定の所得について他の所得と合計せず分離して税額を計算する制度を指します。

所得税の原則は、申告分離課税ではなく総合課税です。源泉徴収されるものや、申告分離課税にあたるもの以外の雑所得は、総合課税の対象となります。そのため、総合課税の対象の雑所得は他の所得金額と合計して所得税額を計算しましょう。

雑所得の控除や必要経費

雑所得を計算する際は、収入から控除額や必要経費を差し引くことがポイントです。雑所得の計算方法は、分類によって異なります。

公的年金を受け取るケースと、公的年金以外の雑所得を受け取るケースに分けて、確認していきましょう。

公的年金を受け取るケース

公的年金を受け取るケースでは、受け取った公的年金から公的年金等控除額を引いて雑所得を計算します。計算式は、以下のとおりです。

公的年金等の雑所得 = 収入金額 ー 公的年金等控除額

公的年金等控除額は、受給者の年齢や年金収入額によって定められています。計算する際は、「公的年金等に係る雑所得の速算表」を利用すると便利です。国税庁のホームページに速算表が掲載されているため、参考にしてください。

なお、公的年金等とは、主に以下に該当するものです。

  • 国民年金法・厚生年金保険法・公務員等の共済組合法などの規定による年金
  • 過去に勤務した会社などから支払われる年金
  • 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給される年金

生命保険契約・生命共済契約などに基づく年金や互助年金などは該当しないため、注意しましょう。

参考)国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

公的年金以外の雑所得を受け取るケース

雑所得(業務にかかるもの)もその他の雑所得も、必要経費を引くことで計算できます。計算式は、以下のとおりです。

業務にかかる雑所得・その他の雑所得 = 総収入金額 – 必要経費

雑所得の必要経費とは、雑所得を得るために支払った費用のことです。雑所得を得るための仕入費用・交通費・物品購入費・通信費などが雑所得の必要経費に該当します。

ただし、必要経費に計上する際に注意しておきたいのが家事按分の概念です。家事按分とは、プライベートと業務の両方で使うものに対する支出をした場合に、業務で使用している割合のみを経費として計上できる制度を指します。

たとえば、雑所得を得るために自宅の一部を使用している場合、家賃は経費計上できますが、あくまで使用割合に応じた分に限られる点に注意しましょう。

雑所得で確定申告は必要?

雑所得を得た場合、確定申告が必要になる可能性があります。主な判断基準は、対象者の所得金額です。

また、雑所得で確定申告が不要でも、確定申告した方がよいことがあります。以下の場合は、確定申告をした方がよいでしょう。

  • 年間の医療費が10万円を超えている
  • 寄附・ふるさと納税をした
  • 住宅ローン控除を適用したい

上記いずれも、所得控除を適用できる例です。ふるさと納税で「ふるさと納税ワンストップ特例」の適用を受ける場合や、住宅ローン控除を適用する2年目以降の場合は、確定申告以外の方法でも対応できます。

ここから、確定申告の概要を説明してから、雑所得で確定申告が必要になる具体的なケースや、手続きの方法について解説します。

確定申告とは?

所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、所得税額を計算して確定させる手続きのことです。源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合は、確定申告により過不足を精算します。

一般的に、会社員などの給与所得者は確定申告する必要がありません。なぜなら、以下の要件を満たしていれば原則として確定申告が不要なためです。

  • 給与の収入金額が2,000万円以下
  • 給与を1か所から受けている
  • 源泉徴収されている
  • 給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下

確定申告不要の給与所得者は、確定申告する代わりに、基本的に年末調整の手続きで源泉徴収された年間の税額と本来納めるべき年税額を精算しています。国税庁によると、2021年に1年間を通じて勤務した給与所得者(5,270万人)のうち、年末調整した人(4,894万人)の占める割合は92.9% でした。

参考)確定申告とは
参考)国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」

雑所得の金額によって確定申告の必要性が異なる

雑所得の金額によって、確定申告の必要性が変わります。ただし、公的年金等の雑所得を受け取るケースと、それ以外の雑所得を受け取るケースでは、金額の基準が異なる点に注意が必要です。

それぞれのケースについて説明します。

公的年金を受け取るケース

雑所得が公的年金であるケースでは、以下のすべてを満たす場合に限り、確定申告が不要です。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下(複数から受給している場合はその合計)
  • 公的年金等の全額が源泉徴収の対象となる
  • 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下

つまり、公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下でも、公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円を超えると確定申告しなければなりません。公的年金等にかかる雑所得以外の所得の具体例は、給与所得(給与・賞与など)・公的年金等以外の雑収入(個人年金・原稿料など)・配当所得・一時所得です。

なお、所得によって計算方法が異なるため、注意しましょう。

参考)国税庁「公的年金等を受給されている方へ」

公的年金以外の雑所得を受け取るケース

給与の収入金額が2,000万円以下で給与を1か所から受けていて、全額源泉徴収される人は、雑所得(公的年金以外)が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、雑所得(公的年金以外)とその他の所得金額(給与所得・退職所得除く)の合計が20万円を超える場合、確定申告しなければなりません。

たとえば、会社員が給与とは別に原稿料を受け取っており、その金額が20万円を超えれば確定申告が必要です。また、仮に原稿料が5万円であっても、事業所得に該当する所得が17万円であれば、確定申告しなければなりません。

雑所得で確定申告する際の書き方・やり方のポイント

雑所得で確定申告の対象の場合、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告しなければなりません。

確定申告する際のやり方の流れは、以下のとおりです。

  • 必要書類を準備する
  • 確定申告書を作成する
  • 確定申告書を提出する

確定申告には、確定申告書・源泉徴収票・控除を受けるための書類や、本人確認書類(個人番号を確認できる資料含む)などが必要です。確定申告書は、申告時期になったら国税庁のホームページで最新版をダウンロードできます。

雑所得で確定申告する際、確定申告書第一表の「収入金額等」の「雑」部分に記載が必要です。雑所得が公的年金の場合は「公的年金等」、それ以外の場合は「その他」に記載します。

続いて、「収入金額等」の「雑」部分に記載した金額を「所得金額等」の「雑」「(7)から(9)までの計」に記載しましょう。また、「所得から差し引かれる金額」には適用できる所得控除を記載します。

さらに、給与所得者の場合、「給与所得」に関する記載も必要です。源泉徴収票を見ながら、記載していきましょう。

確定申告書を作成したら、所轄の税務署などに提出します。提出方法は、スマートフォン・PCを使って自宅などから手続きする「e-Tax」、「所轄税務署へ持ち込む・郵送する」の2つ(3つ)です。

雑所得の税金の計算方法

ここから、雑所得の税金の計算方法(税率・計算式)を説明します。

所得税の税率

所得税の税率は、原則として以下のように 所得に応じて5%から45%の7段階で定められています。また、所得に応じて決められた一定額を控除可能です。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

ただし、雑所得でも分離課税に対するものは税率が異なります。

たとえば、FX(先物取引にかかる雑所得等)の場合、所得税の税率は一律15% です。また、公的年金の場合、5%の 所得税がかかります。

なお、紹介した税率はあくまで「所得税」の税率です。このほかに、復興特別所得税や住民税もかかる点に注意しましょう。

参考)国税庁「No.2260 所得税の税率」

所得税の計算式

所得税の計算式は、以下のとおりです。

所得税額 = 課税所得金額 × 所得税率 ー 控除額

たとえば、会社員が給与とは別に原稿料を受け取ったケースで、所得税額を計算してみましょう。今回は、給与所得と雑所得を合計して所得控除を適用した課税所得金額を500万円と仮定します。

500万円の課税所得の場合、税率は20%で控除額が427,500円です。よって、所得税額は572,500円と計算できます(5,000,000 × 20% ー 427,500円)。

なお、分離課税の場合は給与所得と合算できないため、別々に計算が必要です。

雑所得が20万円以下でも住民税申告は必要!

仮に雑所得が20万円以下で確定申告が不要でも、住民税申告が必要になる点に注意しましょう。住民税申告とは、1月1日時点で住民登録している市区町村に対して前年の所得を申告する手続きです。

一部の例外を除き、収入がなくても住民税申告をしなければなりません。なぜなら、住民税申告が住民税だけでなく国民健康保険税の算定や所得証明書などの発行にも影響するためです。

なお、所得税の確定申告をしている場合や、収入が給与のみで勤務先が給与支払報告書を対象の市区町村に提出している場合などは、住民税の申告を別途する必要はありません。

雑所得のポイント

雑所得をより深く理解する上で大切なポイントは、以下のとおりです。

  • 副業は雑所得の業務に該当する可能性がある
  • 雑所得ではなく事業所得なら青色申告できる
  • 条件次第で雑所得でも消費税納付が必要

各ポイントについて、詳しく解説します。

副業は雑所得の業務に該当する可能性がある

副業は、雑所得の業務に該当する場合と、事業所得に該当する場合があります。2022年10月に、国税庁は「「所得税基本通達の制定について」の一部改正について」を発表しました。

公表された資料の「事業所得と業務に係る雑所得等の区分(イメージ)」によると、記帳・帳簿書類の保存がある場合は、収入金額によらず概ね事業所得と判断されます。ただし、収入金額が僅少の場合、営利性が認められない場合は、事業に該当するか個別の判断が必要です。

記帳・帳簿書類の保存がない場合は、収入金額が300万円超 のときに概ね業務にかかる雑所得、300万円以下のときに業務にかかる雑所得と判断されます。ただし、収入金額300万円以下の資産の譲渡は譲渡所得やその他雑所得です。

参考)国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」

雑所得ではなく事業所得なら青色申告できる

事業所得は損益通算(損失を不動産所得や譲渡所得・山林所得などから控除すること)できるのに対し、雑所得はできません。また、青色申告できるか、できないかも事業所得と雑所得の違いです。

青色申告とは、日々の取引を所定の帳簿に記載し、その内容に基づいて正しく申告することで税金面での特典を受けられる制度を指します。

青色申告の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 青色申告特別控除を適用できる(最高55万円または65万円)
  • 条件を満たせば、配偶者や親族に支払っている給与を必要経費にできる
  • 純損失を翌年以降3年間にわたって繰り越して、各年分の所得から控除できる

税金に影響を及ぼすため、会社員でこれからネットショップ運営やライター業などの副業を検討している場合は、あらかじめどちらの所得に該当するのか確認しておきましょう。

参考)青色申告とは

条件次第 で雑所得でも消費税納付が必要

たとえ雑所得でも、条件次第で消費税を納付しなければなりません。

本来、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。しかし、2023年10月1日 から始まるインボイス制度をきっかけに、インボイス発行事業者に登録した場合、課税売上高が1,000万円以下でも消費税を納付しなければなりません。

参考)インボイス制度とは

参考)国税庁「No.6501 納税義務の免除」

雑所得まとめ

雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得、いずれにも該当しない所得のことです。また、雑所得には公的年金等・業務にかかるもの・その他があり、税額の計算方法などが異なります。

雑所得が生じた場合、金額に応じて確定申告が必要です。確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は基本的に必要なため注意しましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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