雑所得とは?サラリーマンの副収入は?
2020.01.04

サラリーマンに給与収入以外の副収入が入ったとき、確定申告をしなければならない場合があります。その際に使う言葉が「雑所得」です。この雑所得とは具体的にどのような収入が対象となるのかご存知でしょうか?今回は、確定申告時の内訳で雑所得の扱いとなるものの基礎知識と、雑所得として申告しなければならない場合の処理方法や注意点について解説していきます。
雑所得と所得の種類
雑所得は所得税法で分類されている所得のうち、定義づけされた9つのいずれにも属さない所得を指します。所得の9つの分類は、以下の通りです。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
サラリーマンの場合、通常は給与所得によって生活していることになります。給与所得については、勤務先の会社が源泉徴収などの処理をするため、自ら税務署へ出向いて確定申告をする必要はありません。雑所得は、上記9つの所得に含まれる以外の所得がすべて対象となります。
例えば、執筆業をしていない人がもらう原稿料や印税、講師をしていない人がもらう講演料なども雑所得です。また、仮想通貨 、アフィリエイト、インターネットオークション、フリマ販売 、先物取引、外国為替証拠金取引(FX取引)などで得たお金も雑所得となります。ただし、株式の売却によって得たお金は譲渡所得になります。
雑所得と確定申告
会社で年末調整をしてもらっている給与所得者(サラリーマン)の場合、給与所得および退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。また、公的年金などは雑所得に入りますが、年金受給者の「確定申告不要制度」により、公的年金等収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ公的年金以外の所得金額が20万円以下の場合、確定申告の必要はありません。
雑所得であって雑収入ではない
前述の通り、給与所得者がインターネットオークションで得たお金は雑所得に分類されますが、ここでいう「お金」というのは、「収入」ではなく「所得」であることがポイントです。さらに「雑所得」とは、収入から必要経費を差し引いたものです。
例えば、インターネットオークションで25万円の収入があっても、仕入れで6万円支払っていれば、25万円マイナス6万円で所得は19万円です。そのため、「雑所得」は20万円以下となり、確定申告が不要になります。
雑所得と事業所得の違い
本業のあるサラリーマンが副業としてどこかでアルバイトをして給料を得た場合には、給与所得の扱いとなります。しかし、個人的に頼まれて休みの日や仕事終わりにセミナーの講師をして謝礼金をもらった場合には雑所得にあたります。
また、こうした収入の扱いの中に、もう一つ事業所得という区分があります。実はサラリーマンの副収入が「雑所得になるか」「事業所得になるか」の区別に、明確な基準はありません。サラリーマンの場合、副業が事業として成立していると認められるハードルはかなり高く、多少の収入については雑所得として扱われるのが一般的です。
雑所得よりも事業所得の方が得
事業所得であれば、一定の条件を満たすことで、10万円または65万円の青色申告特別控除を利用することができるようになります。また、事業所得には副業で赤字になった際に、給与所得から損失分を引いて所得税の計算がなされる損益通算などの優遇があることが特徴です。
雑所得ではそうした有利な制度が適用されないため、できれば雑所得よりも事業所得にした方がお得ということになります。しかし、事業所得として認められるためには収入を得る仕事が、独立・継続・反復して実行されていなければなりません。雑所得を事業所得として無理やり申告しても、税務署から指導を受けて申告のし直しを命じられる可能性があります。
雑所得で申告が必要な場合の具体例

雑所得で申告が必要とされる収入金額の計算方法は、以下の通りです。(1)と(2)の合計が雑所得の金額となります。
(1)公的年金等
収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得
(2)公的年金等以外のもの
総収入金額-必要経費=その他の雑所得
インターネットオークションやフリマ販売で収入があった際に、仕入れなど経費を除いた金額が20万円を超える場合は申告が必要です。いわゆる「せどり」と言われる転売による収入でも、仕入れ代や配送費を除いた金額が、年間20万円を超える場合であれば確定申告をしなければなりません。
サラリーマンの場合、確定申告をすると、本業の給与所得と合算して所得税が算出されます。所得税の計算は累進課税が採用されているため、所得に応じて税率が5~45%の7段階で適用されます。
副業での収入の申告漏れに注意
副業により、こまめに収入を得ている場合、合算した年間の収入が20万円を超えてしまうこともあるでしょう。しかし、経費分が差し引かれるため、売り上げが20万円を上回っていても所得が20万円を超えているとは限りません。
ただし、収入が20万円を大きく超えている場合には、経費を差し引いた額が20万円を超えていないかをしっかりと確認する必要があります。確定申告をせずにいたら、「過去数年間分にわたって思わぬ高額な追徴金を課せられた」というケースもあります。まとまった収入があり、雑所得が20万円を超えている場合はしっかりと確定申告をしておきましょう。
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