監査役とは~権限、選任方法、報酬について~

更新日:2018年03月29日

メモ

監査役とは、取締役および会計参与の職務執行を監査し、健全かつ適正な企業経営を実現する役割を担っている役員のことです。取締役と同じく、3人以上の監査役がいれば監査役会という機関を設置できます。※2018年3月29日に公開

監査役の3つのポイント

  • 監査役は、取締役の職務に不正がないかを独自調査し、取締役会および株主総会で報告したり、不正行為の差し止めを請求したりできる権限を持つ。
  • 取締役会を設置していなければ、監査役も置かなくてもよい(非公開会社)。取締役会を設置している会社でも、会計参与が設置されていれば、監査役を置かなくてもよい(大会社を除く)。
  • 監査される側の会社の取締役や従業員、子会社の取締役、執行役、監査役、従業員は、監査役になれない。

監査役の権限

取締役会においては取締役が職務について報告し、不正や違法行為が起こらないよう相互にチェックします。しかし、慣れ合いなどによって取締役会が正常に機能しないリスクに対処するため、取締役の職務執行を監査する役割として、監査役が設けられています。監査役の具体的な権限は、以下のようなものです。

  • 取締役などから事業の状況報告を受ける
  • 事業の状況について独自に調査する
  • 取締役会や株主総会で監査結果を報告する
  • 取締役の不正行為の差し止めを請求する

監査役の選任方法

監査役を選任するには、株主総会での決議と、選任された人の承諾が必要です。監査役の任期は4年で、10年まで延長できます。ただし、定款でその旨を定めてあること、譲渡制限会社であることの両方を満たさなければなりません。

監査役は必ず設置する?

現行の会社法においては、比較的自由な組織設計が可能です。非公開会社の場合、取締役会の設置も任意となっているため、監査役をおいても実効性がともなわないと判断される場合には、監査役を設置する必要がありません(取締役会を設置しなくても、監査役を置くことはできます)。ただし、公開会社の場合は取締役会の設置が義務づけられており、一部の例外を除いて、監査役も必ず設置しなくてはなりません。

会計参与を置いた場合

取締役会を設置している会社でも、会計参与を置く場合は原則として監査役を設置しなくてよいとされています。会計参与は、税理士や公認会計士などが就任し、取締役と共同で計算関係資料を作成する職務を担います。ただし、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社(大会社)は、会計参与を置いても監査役の設置は必要です。

委員会設置会社の場合

例外として、委員会設置会社に監査役を置くことはできません。委員会設置会社は、業務執行と監視役の分離によってコーポレートガバナンス(企業統治)を十分に機能させるべく設計されているため、こうした決まりになっているのです。

監査役を兼務できる?

監査を「する側」と「される側」が同一であれば、監査の実効性が疑問視されます。そのため当該会社の取締役や従業員、子会社の取締役や執行役、従業員、会計参与は監査役を兼務できません。しかし親会社の取締役や執行役、監査役、従業員が当該会社の監査役を兼務することは可能です。

監査役の報酬は0円でも良い?

監査役への報酬は、監査される会社から支払われます。チェックされる側が、する側へお金を渡すという点に、違和感をおぼえる方もいるかもしれません。では、監査役に対する報酬は0円でも問題ないのでしょうか。結論から言うと問題なしです。役員報酬の支払は義務ではありません。誤解のないように補足しますが、監査役が自らの職務を全うしているのであれば、それに見合う報酬を会社側に要求するのも当然のことです。重要なのは、監査役の仕事の責任を果たしているかどうか、監査役としての資格があるかどうかです。

関連記事

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加