役員とは何か~みなし、執行、使用人兼務とは~
2019.09.13

役員とは、一般的に取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事といった役職のことを指します。これらの役職に就く役員は会社の経営上、重要事項の決定に深く関与しており、雇用契約形態を含めて社員(従業員)とは明確に区別されます。なお、会社法の役員に含まれるのは取締役、会計参与、監査役です。執行役、理事、監事を含むのは会社法施行規則ですが、ややこしいので覚えなくても問題ないでしょう。※2019年9月13日に更新
役員の3つのポイント
- 役員とは取締役、執行役、監査役など、会社経営における重要事項の決定に深く関与する役職を指す。
- 執行役員は経営には関与せず、現場の業務執行に責任を持つ。役員とは異なり、従業員としての雇用契約を結んでいる。
- 業務を執行する立場でありながら、役員としての扱いを受ける人を使用人兼務役員と呼ぶ。使用人兼務役員の従業員としての給与については、役員報酬の制約が適用されない。
みなし役員とは
役員として登記されない立場であっても、役員と同じ扱いを受けている場合には、法人税法の上では「みなし役員」と呼ばれます。具体的には「A社の業務に従事していないが、経営に関わっている人(経営者)」や「同族会社B社の業務に従事しており、A社に対して一定の持株割合を有する株主として経営に関わっている人」が、これに該当します。みなし役員は、報酬のあり方やその会計処理の方法(詳しくは「役員報酬」を参照)などについても、役員と同様の扱いをしなくてはなりません。
執行役員との違い
役員と執行役員の違いは、経営に関わる重要事項の決定権を持つかどうかです。執行役員も「役員」という名称を含むため混同されがちですが、執行役員は経営層の意思決定に従って現場を管理する、いわば「従業員のトップ」といった位置づけになります。そのため執行役員から役員へ昇格する場合は、一度退職した上で新たな委任契約を結びます。
執行役員に定義はない
執行役員は法律上の規定がなく、各社の独自ルールによって設置される役職です。執行役員制度は1997年に登場しましたが、執行役員を設置するかどうかは各社の裁量に委ねられており、2017年現在、組織体制の見直しによって大手企業を中心に廃止する向きも増えつつあります。ちなみに、「社長」も社内ルールで定められた役職にすぎず、必ずしも役員であるとは限りません。
使用人兼務役員とは
使用人兼務役員とは、実際に現場で業務を執行する立場でありながら、役員としての扱いを受ける役職のことです。たとえば「事業本部長」という肩書きの人が、その役割を担った状態で取締役に就任した場合などが該当します。なお、使用人兼務役員となる場合、雇用実態証明書などをハローワークに提出し、手続きする必要があります。条件を満たしていると判断されるには、役員としての役割よりも、業務執行に対する役割の比重のほうが大きいという点が重要です。ただし代表取締役など会社の代表権を持つ役員は、使用人兼務役員にはなれません。また、同族会社の役員にも該当しないことが条件になります。
使用人兼務役員の報酬
役員の場合、報酬は原則的に毎月同額となる制約が設けられます。しかし、使用人兼務役員の従業員としての給与については月ごとの変動が認められています。賞与や残業手当に関しても、役員とは異なり損金に計上して支給が可能です。
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