法人口座の口座名義を変更するには?変更が必要なケースを解説

更新日:2024年01月12日

法人口座の名義変更

法人口座の名義には、会社名の他に代表者名も記載されているため、代表取締役の退任など代表者が交代した際には口座名義を変更する必要があります。また、会社名や本店所在地が変更になった時にも、口座名義の変更手続きが必要です。

今回は、法人口座の口座名義を変更するために必要な書類や、変更が必要なケースについて詳しく解説します。

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目次

法人口座の特徴

法人口座とは、会社(法人)名義の銀行口座のことです。主に会社の業務上の取引で発生する入出金の際に使用します。単に会社名を口座名義にしているものもあれば、会社名の後に代表者名が入っているものもあります。

法人口座と個人口座の大きな違いは「口座名義人の違い」です。法人口座は会社名を登録するのに対し、個人口座は開設する個人の名前を登録します。ちなみに、個人事業主が個人口座を開設する場合、屋号のあとに個人名を登録することもできます。

法人口座の名義変更手続きが必要なケース

法人口座の名義変更が必要となる代表的なケースは、以下の2つです。

代表者が変更したとき

代表者が交代した際、法人口座の名義に代表者名が含まれる場合は名義変更の手続きが必要です。必要な書類を揃えて、取引のある銀行の支店で名義変更の手続きを行います。

ほとんどの会社では、後継人事や経営方針によって代表取締役を変更することがあります。取締役会を設置している場合は、原則、取締役の中から代表取締役を選定します。取締役会を設置していない場合は、取締役の互選や株主総会の決議によって代表取締役を選定します。

商号(会社名)や本店所在地が変更したとき

商号(会社名)が変更した場合や、本店所在地が変更した場合にも変更手続きが必要です。商号を変更するには必要書類を作成し、法務局で「変更登記申請」を行います。

新たな商号を決める際には、以下4つのポイントに注意しましょう。

変更登記の期限に注意

変更登記は株主総会での決議の翌日から2週間以内です。期限を過ぎてしまうと、代表者個人に対して裁判所より、ペナルティとして100万円以下の過料が課せられる可能性があります。また、許認可の種類によっては名義変更の届け出を怠った際、始末書の提出も求められる可能性もあります。期限内に申請を完了できるよう、必要書類などを事前に確認して準備しておくことが大切です。

同一商号・同一本店の禁止

同じ本店の所在地で、同じ商号の会社を登記することはできません。

例えば「株式会社ABC」と「ABC株式会社」では、社名が株式会社の前か後ろかで異なっているので登記可能です。また、「株式会社ABC」「合同会社ABC」も、株式会社と合同会社が異なるため登記できます。

類似商号に注意

有名会社の信用を利用して不当に利益を得ようとすることを防ぐため、有名会社と類似した商号で事業を行うことは「不正競争防止法」で禁止されています。故意でなくても、商号の差し止めや、ときには損害賠償を請求されることがあるため、十分に注意しましょう。

商号に使用できる文字の制限

ギリシャ文字(γ、β)やハングル文字、中国の簡体字は使用できません。使用可能な文字は以下となります。

  • 日本語
  • ローマ字(A, a)
  • アラビア数字(1,2)
  • &(アンド)や.(ピリオド)といった各種記号

名義を変更する際の手続き方法を解説

次に、名義変更の手続きで用意するべきものや注意点などを解説します。

必要な書類を準備する

まずは名義変更に必要な書類を用意します。必要な書類は金融機関ごとに異なるため、自社口座のある金融機関のホームページなどを見て、事前に確認しておくと良いでしょう。ここでは、名義変更で必要とされる一般的な書類を紹介します。

  • 口座の通帳(証書)
  • 口座の届印
  • 新しい代表者の印鑑証明書(発行日から6ヶ月以内の原本)
  • 新しい代表者の登記事項証明書(発行日から6ヶ月以内の原本)
  • 社判(使用している場合)
  • 訪問する者の本人確認資料(例:運転免許証、健康保険証)

印鑑証明書や登記事項証明書は、登記所または法務局証明サービスセンターで交付請求を行う必要があります。これは法務局の窓口の他に、オンラインや郵送で行うことも可能です。もし会社の代表者が銀行へ訪問できない場合、代理で会社の従業員が行うこともできますが、社員証や名刺など会社に在籍していることを証明できる書類の持参が必要になります。

ちなみに、会社名(商号)を変更する場合、まず定款の変更が必要です。定款の変更には株主総会を開き定款の変更を決定しなければなりません。その後、株主総会の議事録を作成し、法務局へ登記申請するための「登記申請書類を作成」を作成します。

銀行窓口で手続きを進める

必要な書類が用意できたら、銀行の窓口で手続きを行います。一般的に求められる書類は以下です。

  • 変更届
  • 印鑑票
  • 取引確認記録表

法人口座の名義人変更に関するQ&A

最後に、法人口座の名義変更に関するよくある質問について紹介します。

Q. 名義人変更はいつやらなければいけない?

代表者が変更した場合の名義変更は、「株主総会で議決された翌日から2週間以内」と定められています。

Q. 法人カードにも代表者名は必要?

法人カードの名義は代表者であるケースが多いです。法人カードの中には会社名が併記されるものもありますが、同じ会社に所属している従業員でも、名義人以外は利用できません。

まとめ|代表者が変更したら速やかに名義を変更しよう

会社の代表者が交代した場合、法人口座の名義変更をしなければなりません。また、会社名や本店の所在地が変更した際にも名義変更が必要です。名義変更時には提出が必要な書類も多く、期日も短いため、事前にしっかり確認しておき、速やかに変更することが重要です。

よくある質問

銀行口座の名義には代表者名は必要ですか?

代表取締役の名前など、代表者の個人名が必要になります。会社や団体の名称のみでは登録できません。

法人名義の口座の代表者名を変更するにはどうすればいいですか?

現在使用している通帳や届出印など、取引のある金融機関の窓口に持参し、手続きをします。必要な書類は金融機関によって異なるため、事前に確認のうえ準備することが大切です。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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