個人口座は法人口座として利用できるのか?会社設立時に気になる疑問を解消

更新日:2024年01月12日

個人から法人口座

新たに会社を設立するが、既存の個人口座をそのまま利用してよいのかどうか悩む方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、会社の口座として個人口座を使用しても、法的な問題はありません。しかし、法人口座を使うことで、社会的な信用を得やすくなったり融資を受けられる可能性が高まったりと、享受できるメリットもいくつかあります。

今回は、法人口座を開設するメリットや、おすすめの銀行について解説します。

▼あわせて読みたい

目次

法人口座と個人口座の違い

法人口座とは、名義が会社名の銀行口座を指します。必ず会社名が入っているのが特徴で、代表取締役などの名前が入っているだけでは法人口座とはいえません。

本章では、法人口座と個人口座の2つの違いについて解説します。

名義人が違う

法人口座と個人口座は、名義人が違います。

法人口座は「会社名」が口座名義人になりますが、個人口座は本人の氏名以外を名義人にすることができません。ただし、個人事業主で口座開設をする際は、「屋号」と「氏名」を名義人にできます。

審査の有無

口座開設の手軽さも、違いの一つです。

個人口座は、必要書類さえ揃っていれば、即日で開設できます。さらに、必要な物も「本人確認書類」と「届出印」、「口座開設資金」と少ないため、事前準備の手間もかかりません。

しかし法人口座は開設までに時間を要する場合がほとんどです。金融機関にもよりますが、個人口座の開設に必要な書類に加え、事業の実態を確認できる各種書類の提出が必須です。また、振り込め詐欺をはじめとした犯罪防止の観点から、必ず審査を受けなければなりません。審査に必要な期間はおよそ2週間から1ヶ月程度で、もし審査に落ちてしまうと、別の開設先を探すなど、さらに時間を要する場合もあります。

法人口座開設の審査が厳しい理由や審査落ちの原因となりうる要素について、「法人口座が作れない理由とは?審査落ちを回避するためのポイントを解説」で詳しく解説しています。

法人口座を開設するメリット

法人口座を保有していないからといって、法律に違反することはありません。しかし、開設することで得られるメリットもあります。

社会的な信用を得やすい

近年、マネーロンダリングなど犯罪防止の観点から、法人口座開設時の審査が厳しくなっています。そのため、金融機関の審査を通過したこと自体が社会的な信用になり、取引先からの信頼も獲得しやすくなるのです。

資金管理がしやすい

法人設立直後は取引先が少なくても、事業が拡大するにつれて取引先や取引回数、一回の入出金数が増えていきます。お金の流れが複雑になると、入出金が個人なのか法人なのか区別できなくなる可能性もあります。あらかじめ法人口座を開設しておけば、資金管理がしやすくなり、将来的に経営状況の把握が難しくなるのを防止できるのです。

融資を受けられる可能性が高まる

金融機関は、融資先の会社の信用性や返済能力の有無から融資するかどうかを判断します。法人口座の入出金履歴があると取引実績として受け取られ、会社としての評価があがり融資を受けやすくなります。しかし個人口座の場合、そもそも融資自体が認められない場合もあるのです。

法人化をする際、個人口座をそのまま利用して良いか?法人口座を開設するべきなのか?よくある疑問

次に、法人口座を開設すべきか迷う方に向けて、よくある疑問にお答えします。開設までの具体的な流れを知りたい方は「法人口座を作りたい!開設までの流れや金融機関を選ぶポイントを解説」をご覧ください。

個人口座を法人口座に変更することはできる?

既存の個人口座を会社名義の法人口座に変更することはできません。そもそも個人口座と法人口座では、銀行側の取り扱うサービス体系が異なるからです。

法人口座を利用したい場合、新たに法人口座を開設する必要があります。

個人口座を法人口座として利用してもよい?

会計処理を適切に行い、決算書に反映させることができるのならば、個人口座を法人口座として利用すること自体は税務的にも問題ありません。しかし、個人と法人の利用が混在してしまうと、会社の財産と個人の財産の判別が付きづらく、経理処理が煩雑になってしまうためおすすめしません。

それでも個人口座を使いたい場合は、会社の資金管理を行う口座と個人財産を管理する口座の2口座を用意し、用途別に使い分けるとよいでしょう。会計処理もスムーズになり、資金の流れも把握しやすくなります。

まとめ|個人口座を法人口座として利用することはできるが、法人口座の開設がおすすめ

個人口座を法人口座として利用することは可能ですが、法人が個人口座を利用することで生じるデメリットもあります。そのため、事業用で銀行口座をあつかう場合は、法人口座の開設がおすすめです。

よくある質問

法人口座のメリットは何ですか?

法人口座を開設することで、取引先などの社会的な信用を得やすくなり、銀行から融資を受けられやすくなるメリットがあります。また、個人口座を使用することに比べ、資金を管理しやすくなります。

個人口座を法人口座として使用してもよいですか?

個人口座を法人口座として利用すること自体は税務的にも問題ありません。しかし、個人と法人の利用が混在してしまうと、会社の財産と個人の財産の判別が付きづらく、経理処理が煩雑になってしまうためおすすめしません。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

無料の会計ソフト「フリーウェイ」

このエントリーをはてなブックマークに追加