法人口座が凍結される理由や影響は?事前対応や解除方法も解説

更新日:2024年06月16日

法人口座 凍結

法人口座はほとんどの企業が持ち、あらゆる企業活動に関わっています。しかし、ひとたび債務整理や税金の滞納などにより口座が凍結されると、資金が引き出せなくなり、取引停止や給与支払い不能などの深刻な影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、法人口座の凍結につながる具体的な4つの理由とその影響について説明します。その上で、自社の法人口座を凍結されそうになった場合に、事前にできることや解除方法まで解説します。

企業経営に大きな影響を及ぼす法人口座の凍結に直面しても落ち着いて対応できるように、ぜひご覧ください。

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目次

法人口座が凍結される理由

法人口座が凍結される理由には以下の4つのパターンがあり、その理由によって解決すべきポイントが異なります。

  • 債務整理の実施
  • 税金などの滞納
  • 約束手形の不渡り
  • 犯罪利用の疑い

いざというときにすみやかな問題解決を図れるよう、法人口座が凍結される理由をあらかじめ理解しておきましょう。

債務整理の実施

債務整理とは、財務問題の解決を目指す手続きです。債務整理には大きく分けて4種類あります。

▼債務整理の種類

摘要
任意整理 専門家に債務者との交渉を頼み、債務額を確定させる手続き
破産手続き 裁判所に債務の免除を頼む手続き
個人再生手続き 一定額は返済するが残りの債務は免除してもらう手続き
特定調停 裁判所を仲介者として、債務者を債務額を確定させる手続き

これらの債務整理を専門家に依頼すると、専門家から受任通知が法人口座を開設している金融機関宛てに送られます。通知を受領した金融機関は、リスク管理のために法人口座を凍結することが一般的です。法人破産も債務整理の一種(破産手続き)であり、口座が凍結される原因になり得ます。

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税金などの滞納

税金や社会保険料、厚生年金保険料などの公租公課の滞納が続いてしまった場合、政府や地方公共団体が金融機関に対して口座の差し押さえを命じることがあります。

差し押さえを命じられた金融機関は、債権回収のために該当する法人口座を凍結させます。また、企業の代表者やその家族が連帯保証人となっている場合、連帯保証人である個人が公租公課を滞納していても、法人口座が凍結されるリスクがあります。これらは企業経営と別に起こりうるため、注意しておきましょう。

約束手形の不渡り

約束手形の不渡りも、法人口座が凍結される原因になります。約束手形とは、振出人(手形の発行者)が受取人に対して、支払う金額と期日を約束する金融文書であり、振出人が約束通り支払えない状態を「約束手形の不渡り」と呼びます。

法人が半年間に2回、約束手形の不渡りを出すと、金融機関はその法人に対して取引停止処分を下すことになります。仮に企業が取引停止処分を受けた場合、2年もの間、当座預金の取引や貸出取引を行えなくなり、銀行からの融資や手形の発行も不可能になってしまいます。

犯罪利用の疑い

法人口座が犯罪行為に利用されている疑いが生じた場合や、実際に使われていた場合、警察や金融庁などの機関からの通報により法人口座が凍結される可能性があります。振り込め詐欺や架空請求など、金融犯罪に関連する多くのケースでこのような措置がとられます。

法人の場合には、ホームページなどからの情報流出などにより法人口座が犯罪行為に使われ、身に覚えがないのに凍結されてしまうケースに注意しておきましょう。

過去には、代表者の個人情報が流出し、不正に口座が開設された事例もあります。

自社の情報は共有範囲を限って厳重に管理する、定期的に口座情報をチェックするといった対策を講じておく必要があります。

なお、詳細な犯罪事例については、金融庁がまとめている「疑わしい取引の参考事例」をご覧ください。

法人口座の凍結による影響

法人口座の凍結は企業経営全体に多大な影響を及ぼします。長期間、1つの口座から資金が引き落とせなくなるだけでなく、同じ金融機関の他の口座や他の金融機関の口座までもが凍結されてしまい、最悪、破産に至るケースも考えられます。法人口座の凍結による具体的な影響を見ておきましょう。

口座の取引ができなくなる

法人口座が凍結されると、その口座を利用した取引は完全に停止します。この状況では、資金の引き出し、公共料金の支払い、従業員や取引先への振込など、企業経営に必要な取引を行えません。

資金の流れが停止することで日常的な企業経営が困難になるだけでなく、法人の信用低下やビジネスチャンスの喪失も起こり得ます。

また、法人口座凍結による経営への影響が長期的に続くことも考えられます。口座の凍結期間は、一般的には数ヶ月程度ですが、支払うべき金額が払い終わらない場合はその限りではなく、さらに長期間に及ぶこともあります。

他の口座も凍結される

1つの口座が凍結されると、同じ金融機関における他の口座も凍結されるケースがあります。

さらに、凍結の原因が犯罪の関与である場合には、他の金融機関の口座も凍結される可能性が高まります。犯罪に利用された口座の情報は、預金保険機構という機関を通じて、複数の金融機関に共有されており、情報を受けた金融機関がそれぞれにリスク管理のために対処をおこなうためです。

法人口座が凍結される前にできること

企業の財務活動に問題がなくても、家族の公租公課の滞納や情報流出による犯罪利用などにより法人口座が凍結される可能性はあり、残念ながらリスクをゼロにすることはできません。

しかし、もし「法人口座が凍結されてしまいそうだ」となった場合でも、企業にできることはいくつかあります。法人口座が凍結される前に対応すべきことを、3つ解説します。

口座残金の引き出し

法人口座の凍結が予測される場合でも、凍結前にあらかじめ口座の残金を全額引き出しておけば企業の資金をそのまま保持し続けられます。他の金融機関などの口座が使えるならば、引き出した現金を、別の口座に預けることも可能です。ただし、口座の残金を全額引き出す際には注意が必要です。この行動は「財産隠し」と疑われる恐れがあり、法的な問題を引き起こす可能性があります。どのぐらい残金を引き出すべきか判断に迷う場合は、事前に弁護士に相談すべきでしょう。

なお、口座が凍結された場合、その口座の残高は基本的に受け取るべき人の手に渡ります。例えば、約束手形の不渡りが原因の場合は受取人に、借入金が原因の場合は貸出人への返済に充てられる、といった具合です。

借入金の場合、返済に充てられる残高は借入金と相殺されますが、相殺金額は、銀行が受任通知を受け取った時点の残高に限られます。そのため、受任通知を受け取った後に口座に入金された金額は、借入金と相殺されず、凍結解除後に受け取れます。

引き落し口座を変更

公租公課や電気代・水道代・ガス代などの定期引き落としを利用している場合、別の支払い方法に変更しておきましょう。

口座が凍結されると、その口座からの引き落としが行われなくなるため、何も手続きを行わなければ一定期間滞納状態に陥り、必要なサービスが止められることもあるためです。また、補助金や助成金を受け取っている場合も同様に、振り込まれる口座が凍結される恐れがないか確認しておきましょう。

支払い方法は、別の口座か、コンビニ支払いなどが良いでしょう。クレジットカードは債務整理の過程で利用できなくなるため、利用は避けておくべきです。

売掛金の給金先を変更

売掛金の給金先を変更することで、口座凍結により通常の取引口座からの給金ができなくなる事態を回避できます。この場合、自身で事業を行っている方は、取引先への請求書の送付時に、代金の支払いを別の銀行口座へ振り込んでもらうよう案内することが必要です。

法人口座が凍結された際の解除方法

このように、法人口座が凍結されると企業の存続に関わる重大な影響が生じます。もし法人口座が凍結されてしまった場合には、原因に応じた対応をできるだけ迅速におこない、企業への影響を最小限におさえることが重要です。

なお、これらの対応をおこなっても法人口座凍結の解除が難しい場合、新たに法人口座を開設することが求められます。新規の法人口座開設については、「法人口座の開設までの流れや金融機関を選ぶポイントを解説」をご覧ください。

税金滞納や不渡りの場合

租税公課の滞納や約束手形の不渡りが原因で口座が凍結された場合、支払うべき金額が国や自治体、受取人の手に渡れば、口座の凍結は解除されます。支払う金額を確認し、できるだけ迅速に用立てることが必要です。

税金滞納や不渡りの場合

租税公課の滞納や約束手形の不渡りが原因で口座が凍結された場合、支払うべき金額が国や自治体、受取人の手に渡れば、口座の凍結は解除されます。支払う金額を確認し、できるだけ迅速に用立てることが必要です。

債務整理によって凍結された場合

債務整理によって法人口座が凍結された場合、保証会社による代位弁済が完了すると、凍結が解除されます。

代位弁済とは、保証会社などの第三者が債務者に代わって金融機関に対する債務を履行することです。この場合は保証会社が新たな債権者となるため、債務者は保証会社に対して債務を返済することになります。

代位弁済の場合、口座の凍結解除までに一般的には2ヶ月程度かかるとされています。とはいえ、期間はそれぞれのケースによっても異なるため、口座残金の引き出し、引き落とし口座の変更などの対策はできるだけ講じておくべきでしょう。

なお、代位弁済を行っても金融機関に対する負債を完全に返済できない場合、口座の凍結解除は困難になる可能性があります。

犯罪関与によって凍結された場合

犯罪関与が原因で法人口座が凍結された場合、残念ながら一般的に凍結解除は困難です。

ただ、法人口座が自身の預かり知らぬところで犯罪に利用されていた場合であれば、その事実を警察や金融機関に証明できれば、凍結が解除される可能性があります。文書記録を整理して不正な取引がないことを示す証拠を準備したり、セキュリティチェックで不正アクセスの有無を検証したりすることで、有効な証拠となる可能性があります。

ただしこの場合、民事訴訟に至るケースもあるため、犯罪関与が疑われる場合は弁護士に相談することがおすすめです。

まとめ|企業活動へ深刻な影響を及ぼす法人口座の凍結には、迅速な対応を

法人口座が凍結される主な理由は、債務整理や税金の滞納などです。また、法人口座の凍結が発生すると、該当の法人口座に加えて、同じ金融機関の他の口座や他金融機関の口座も凍結され、あらゆる資金の流れが停止することもあるかもしれません。

法人口座の凍結が予想される場合、該当する法人口座から事前に資金を引き出すことや、支払い方法を変更することが事前にとりうる対策です。

凍結理由が債務整理の場合、保証会社による代位弁済が完了後に凍結が解除されます。ただし、法人口座の犯罪利用が疑われる場合、凍結解除は不可能ですが、企業が犯罪に無関係であることが証明できれば、凍結解除も不可能ではありません。

法人口座の凍結に至る理由を見極め、ときには弁護士などの専門家と連携しながら対応を迅速に講じることが重要です。

よくある質問

Q1.法人口座が凍結される主な理由は何ですか?

法人口座が凍結される理由は4つ考えられます。代表的な理由として、

  • 債務整理の実施
  • 税金などの滞納
  • 約束手形の不渡り
  • 犯罪利用の疑い

が挙げられます。詳しくは法人口座が凍結される理由の章をご覧ください。

Q2.法人口座が凍結してしまった場合どのようにすれば良いですか?

法人口座が凍結してしまった場合の対処は、凍結の理由によって異なります。
凍結の理由が債務整理であれば、保証会社による代位弁済が完了すると、凍結が解除されます。ただ、凍結の理由が口座の犯罪利用の疑いである場合は、凍結解除は困難です。とはいえ、ただ単に情報を悪用されただけなどの自社に非がない犯罪である場合であれば、事実を証明できれば解除できる可能性があります。

詳しくは法人口座が凍結された際の解除方法の章をご覧ください。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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