法人口座を作れない理由とは?スムーズな開設に必要な対策も解説

更新日:2024年06月16日

法人口座を作れない理由

法人口座を持っていないと、今後の融資が受けづらくなったり、個人と法人の口座が混同してしまい、資金状況の把握が難しくなる可能性があります。そのため、法人を設立したら速やかに開設したい法人口座ですが、個人口座と違い、開設時に厳しい審査があります。

場合によっては、審査落ちしてしまい法人口座が作れないこともあるため、開設前に入念な準備をしておくことが重要です。本記事では、法人口座が作れなかった場合の原因や審査落ちを回避するためのポイントを解説します。

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目次

法人口座が作れない理由

法人口座を開設する際は、どの金融機関でも審査を受けなければなりません。これは、マネーロンダリングなど口座の不正利用を防ぐために行われます。

マネーロンダリングとは、規制薬物の取引など、犯罪行為によって得た資金の出所や所持者を隠し、正当な手段で得た資金に見せかける行為です。もし口座開設時に架空の法人名義を使えば、個人口座よりも特定されるリスクを減らすことができるため、法人口座は不正利用されやすいのです。そのような不正行為を防ぐため、金融機関は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」や「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」に基づき、厳重な審査を実施しています。

口座開設の審査は厳しく、審査落ちしてしまうこともありますが、一般的に理由を開示してもらうことはできません。しかし、審査落ちしやすい要因を知り、あらかじめ対策しておくことで、審査に通る可能性を上げることはできます。

本章では、法人口座の審査落ちの原因となりうる要素を3つ紹介します。

企業の実態が不明瞭

口座開設時には銀行に申込書類を提出しますが、企業の実態が掴めないと判断された場合、審査落ちする可能性があります。例えば申込内容と登記書類の住所が一致していない、法人登記されている住所と実際に事業を行っている場所が一致していない、などが考えられます。

具体的には、賃貸借契約が結ばれていると判断できない、(代表者の携帯電話で取引先と連絡を取り合っていて)固定電話がない、バーチャルオフィスの住所を登記しているなどの場合、実態のないペーパーカンパニーと判断されてしまうおそれがあります。

怪しい企業ではない、実在する企業だと銀行側に理解してもらうためにも、所在地や電話番号などあらかじめ用意し、書類の確認も怠らないことが大切です。

事業内容が不明瞭

企業の事業内容が不明瞭だと、口座の不正利用を疑われてしまい、審査に落ちる可能性があります。また、企業の営業実態がない場合にも架空企業とみなされ、不正利用を疑われてしまう場合があります。特に、業歴が浅いスタートアップ企業は法人登記の手続きから間がなく、銀行で登記確認ができない場合があるため注意が必要です。

法人口座開設の目的が不明瞭

法人口座を開設する明確な目的がなかったり、目的の説明が不十分な場合も、不正利用を疑われ審査で不利になることがあります。どのような用途で口座を使用する予定なのか、具体的に説明できるように事前準備を行うことが重要です。

法人口座が作れないとどうなる?

法人口座を保有しないことが法律違反となったり、取引に支障をきたしたりすることはありませんが、開設しないことで生じるデメリットもあります。

資金管理が煩雑になる

法人口座を保有しないと、企業の資金とプライベートの資金が混同してしまい、売上管理や税金関係の対応など資金管理が複雑になりがちです。法人口座があれば、通帳を確認すれば収支や経営状況が一目で確認できるようになり、今後の資金繰りを考えるための材料にもなります。

融資を受けづらい

企業経営をしていると、自己資金が不足し、金融機関の融資を利用せざるを得ないという状況に陥ることがありますが、法人口座がないと、銀行や公的機関からの融資を受けづらくなります。
銀行は、企業の信用度や返済能力を調べて融資を出すかどうかを判断します。法人口座を保有しており、入出金を行った実績があれば、銀行での取引実績として信用を得ることができ、融資を受ける後押しになります。

振込手数料がかかる

法人口座は取引回数や金額が多いため、交渉すれば振込手数料を値下げしてもらうこともできます。しかし、個人口座では値下げをしてもらうことができません。
取引回数は多いのに、法人口座でないがゆえに手数料が高額になり、経営を圧迫する可能性があります。これは、ネットバンキング手数料についても同様です。

ペイオフのリスク

ペイオフとは、金融機関が破綻したときに、預金などの一定額しか預金保険の保護の対象にならないことを指します。法人口座でペイオフの対象となる金額は、1つの銀行口座につき1,000万円までです。
法人口座を複数保有して預けるお金を分散しておけば、ペイオフのリスクを軽減することができますが、そうでない場合、預金保護の対象外となり、預けたお金が帰ってこない事態に陥る可能性もあります。

法人口座の審査落ちを回避するために

厳しい審査ではあるものの、事前に確認・準備しておくことで回避できることもあります。本章では、審査落ちを防ぐためのポイントを3つ紹介します。

必要書類の不備を防ぐ

まず、必要書類の不備がないかを確かめておくことが大切です。1枚でも必要書類が不足していると、銀行側から信頼できない企業と判断されてしまい、審査に落ちやすくなってしまいます。また、書類自体は揃っていても記載内容に不備があれば、同様に信用が低下し、審査落ちの原因となってしまいます。

【一般的に必要な書類】

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 印鑑登録証明書(印鑑証明書)
  • 本人の公的身分証明書(運転免許証など)
  • 本社の賃貸借契約書
  • 事業内容を確認できるもの(ホームページや商品説明のチラシなど)

これらは求められることが多い書類の一例です。金融機関によって必要な書類や資料は異なるので、詳細は口座開設を検討している金融機関のWebサイトをご覧ください。

事業の内容や開設の目的を明確にする

銀行の担当者に自社の事業内容や口座開設の目的を具体的にわかりやすく説明することで、審査に通りやすくなります。あらかじめ入念に準備しておくことで、あらゆる角度からの審査にも対応できるようにしておくと安心です。

事前準備の内容としては、例えば、企業の事業内容を第三者でも申込書類を見ただけで理解できるレベルまで説明できるようにしておくことや、法人の実態を明確にする書類や過去の取引履歴を証明する書類、事務所などの賃貸借契約書などを用意しておくことが挙げられます。

また、法人口座開設の目的については、「決済」「入金」「融資返済」「海外送金」などが一般的です。どういった用途で口座開設を行うのか、銀行の担当者に明確に説明できるように準備しておきましょう。

金融機関ごとの難易度を把握しておく

法人口座を開設するにあたり、申請先の各金融機関ごとに審査基準や難易度に大きく違いがあることを把握しておくことも重要です。

一般的にメガバンクは審査が厳しい傾向にあり、対して地方銀行や信用金庫は審査基準が甘い傾向にあることがわかっています。また、ネット銀行も比較的審査が通りやすいとされており、口座開設もオンライン上での手続きが可能であるため、申請をスムーズに進めることができるというメリットがあります。

上記は一例ですが、金融機関ごとに特徴や強みは異なります。開設までの難易度だけで金融機関を選ぶのではなく、事業内容や目的に合った金融機関で開設することが重要です。

【金融機関ごとの違い】

メリット デメリット
都市銀行(メガバンク) 信用度が高い 審査が厳しい
地方銀行 地域特有の事情を把握しており、地域内での信頼度が高い 別の地方には窓口がない場合もある
信用金庫 ベンチャー企業や中小企業に対して親身になってもらえる 一定の従業員数や資本金を超えると脱退しなければならない
ネット銀行 24時間365日利用可能、手数料があまりかからない 対面での相談ができない

それぞれのメリット・デメリットをみながら、事業内容や目的に合った金融機関を選択することが重要です。

おすすめのネット銀行

法人口座をネット銀行で開設したい方のために、おすすめのネット系銀行について簡単に比較できる表を作りましたので、参考にしてみてください。

ネット銀行の名称 振込手数料
同行あて 他行あて
GMOあおぞらネット銀行 無料 一律145円
住信SBIネット銀行 無料 一律145円
PayPay銀行 54円 一律160円
楽天銀行 52円 150円~229円

よくある質問

Q1.法人口座が作れない理由は?

万が一審査落ちしても、その理由は開示してもらえませんが、企業の実態や事業内容、口座開設の目的などが不明瞭と判断されると、審査落ちしやすいと言われています。

Q2.法人口座の開設は必須なのか?

法人口座を保有しないことが法的に違反となったり、取引に支障をきたしたりすることはありません。しかし、法人口座を持たないことで生まれるデメリットもあります。

例えば、資金繰りに時間がかかる、融資が受けづらい、振込手数料がかかる、ペイオフのダメージを受ける可能性がある、などです。

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この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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