バーチャル口座とは?振込の仕組みからメリットまで解説

更新日:2024年01月12日

バーチャル口座とは

ネットショップなどで取引件数が増えると、入金の確認作業に時間や手間がかかって他の業務にも支障が出ていると悩んでいる方もいるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、バーチャル口座の導入です。振込専用の口座であるバーチャル口座を活用することで、入金管理作業の効率化を実現できます。本記事では、バーチャル口座の仕組みやメリット・デメリットを解説します。

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目次

バーチャル口座とは振込専用の口座のこと

バーチャル口座とは、仮想口座とも呼ばれている振込専用の口座番号のことです。取引先や請求先ごと、または注文ごとに異なる口座番号を割り当てます。入金元を口座番号から識別できるようになるため、入金管理の効率化につながります。

バーチャル口座はシステム上での管理で使われるもので、実際にはその口座番号の預金口座は存在していません。

バーチャル口座の使われ方

バーチャル口座の使われ方には、大きく分けて2つの方法があります。

注文ごとに口座番号を振り分ける方法

注文が行われるたびに特定の口座番号が生成され、対象の取引に関連付けられるものです。利用者が同一でも、それぞれの取引には異なる口座番号が割り当てられるため、商品ごとに注文を追跡できます。また、入金がどの注文に対するものか特定しやすくなります。

取引先ごとに口座番号を振り分ける方法

特定の取引先に固有のバーチャル口座番号が割り当てられ、1つの取引先が行うすべての取引が単一の口座番号に紐付けられるものです。同じ利用者が複数の注文をしても、すべての注文に同一の口座番号が割り当てられるため、どの取引先が入金を行ったかを特定しやすくなることが特徴です。

バーチャル口座の仕組み

一般的な口座への振込方法は3種類あります。

  • ネットバンキングでの振込
  • コンビニ振込
  • 窓口ATMからの振込

バーチャル口座の振込方法でも、一般口座と同様にこれら3種類の方法が採用されており、入金方法にも特に違いはありません。

入金されたお金は、一度バーチャル口座に振り込まれた後、加盟店の口座へと振り込まれます。

バーチャル口座のメリットとは

バーチャル口座は、注文や取引先ごとに口座番号を割り振れるため、企業側には多くのメリットがあります。具体的なメリットを3つ解説します。

消込処理の手間を軽減できる

消込処理とは、ネットショップなどで売掛金や買掛金などの勘定科目の残高を消していく作業のことです。細やかな作業が多く、消込処理作業の際には勘定科目に間違いがないか確認しなくてはいけないため手間がかかります。

一般的な口座では、多くの異なる取引先からの入金が1つの口座に集約されます。そのため、当初の入金予定額と実際の入金額が異なる場合や、予定とは異なる名義で入金された場合、どの入金がどの取引先や商品に関連しているのか特定が困難です。

しかしバーチャル口座で振込管理をすると、取引先ごとに固有の口座番号が割り振られるため、人的エラーが生じやすい消込作業を自動化することができます。

銀行口座の管理が容易になる

バーチャル口座を利用しない場合、複数の事業やプロジェクトを持つ企業は、それぞれに専用の銀行口座の開設が必要です。しかし、それでは資金の追跡、会計処理、監査などの工程が複雑になります。

一方バーチャル口座を利用した場合、事業やプロジェクトごとに、異なる複数のバーチャル口座を1つの銀行口座に紐付けることができます。実際に管理する必要がある銀行口座は1つに絞られるため、口座管理が簡単になります。

サービス品質の向上が見込める

バーチャル口座を活用し、入金が特定の注文や取引先に即時に関連付けられれば、入金元や金額などの確認作業を効率化できます。これにより、商品の発送やサービス提供までのリードタイムが短縮され、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。入金元も迅速に特定できるため、万が一取引先からの入金遅れや入金金額のミスが生じた場合も、スムーズに対応できるようになります。

バーチャル口座のデメリットとは

バーチャル口座には、メリットだけではなくデメリットも存在します。

導入・運用コストがかかる

バーチャル口座の導入や運用にはコストがかかります。例えば、初期導入ではソフトウェアのライセンス料が必要です。また、利用料やアップデート料などが必要になるケースもあります。

決済手数料がかかる

バーチャル口座を利用する際、企業は通常、振込ごとに決済手数料を負担します。この決済手数料は、顧客が支払う通常の振込手数料とは異なるものです。

▼バーチャル口座の手数料の例

法人 個人
初期費用 無料 無料
月額費用 1,000円 2,000円
決済手数料 20円/回 10円/回

通常の振込手数料に加え、バーチャル口座を利用した分の手数料も必要になるため、全体の取引コストが増加してしまう場合があります。

バーチャル口座を活用すべきビジネス形態とは

最後に、どのビジネス形態にバーチャル口座の活用が向いているか紹介します。

ネットショップや電話注文の多い通販会社には、特にバーチャル口座の活用をおすすめします。

これらのビジネス形態では、支払い方法として、クレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済などが主流です。しかし、クレジットカードなどの重要な個人情報をネットショップに預けることに抵抗感を持つ人もいます。口座振込を使えれば支払い方法の手段が多様になり、利用者の利便性が大幅に向上しますが、企業側にとっては、注文数が増えると消込作業に多くの手間がかかる可能性があります。

バーチャル口座を導入することで、各注文に対して個別に口座番号が割り当てられるため入金の追跡が容易になり、消込作業を正確かつ迅速に行えます。注文の確定から商品の発送までの時間が短縮され、顧客により速く商品を届けることができます。

まとめ|バーチャル口座でさまざまな作業を効率化できる

バーチャル口座は、企業が取引先ごとに割り当てる振込専用の口座番号です。バーチャル口座を利用することで、消込作業の手間を減らすことができるため、サービスの向上が期待できます。さらに、実際に管理する銀行口座は1つで済むため、管理作業も簡単になります。

経理業務の効率化を図りたい企業は、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

Q1.バーチャル口座とはなんですか?

バーチャル口座は、振込専用の口座です。取引先、請求先ごとに自社の法人口座に紐づく口座番号を割り当てます。実際には番号ごとの預金口座は発生しておらず、システム上に仮想的な口座が存在している状態です。

Q2.バーチャル口座のメリットとはなんですか?

バーチャル口座のメリットは、主に以下の3つです。

  • 消込作業の手間が軽減できる

    入金元や金額を迅速に特定できるため、消込作業に必要な入金元や金額の確認作業の手間が軽減できます。
  • 銀行口座の管理が容易である

    システム上の多くの口座情報を一つの口座に紐づけて管理でき、実際に管理が必要な口座は一つだけなので、管理が容易になります。
  • サービス品質の向上が見込める

    入金関連の確認作業が効率化されることで、他の作業にコストを割くことができ、サービス品質の向上が見込めます。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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