ネット銀行で法人口座を開設するメリットとは?【スタートアップ企業向け】

更新日:2024年01月12日

ネット銀行で法人口座

スタートアップ企業の多くが、創業と同時に法人口座を開設することでしょう。必須の法人口座を開設できる金融機関は、メガバンクや地方銀行、ネット銀行など多岐にわたりますが、どの銀行でも、口座開設時に審査を受ける必要があります。これは、法人名義の口座を利用した投資勧誘詐欺などの犯罪を未然に防ぐため、「実態と信用のある企業か」を入念にチェックされるのです。

審査では、企業の実態と信用を示すために商品サンプルや事業実績がチェックされる場合がありますが、スタートアップ企業は、どうしても実績やリソースが十分でないため審査落ちしてしまう可能性があります。また、審査にはある程度時間を要します。口座開設完了まで取引ができなくなってしまえば、機会損失にもなりかねません。

そこで、スタートアップ企業の方におすすめしたいのがネット銀行での法人口座開設です。ネット銀行は他銀行と比べて審査に通過しやすい傾向にあり、手続きもオンラインで迅速に進められます。また、手数料を抑えられるという側面もあります。

本記事では、「法人口座をネット銀行で作るか決めかねている」という方に向けて、ネット銀行のメリットや、審査通過のためにできる対策について解説します。

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目次

法人口座をネット銀行で開設するメリット

法人口座を解説できる金融機関はメガバンク・地方銀行・信用金庫・ネット銀行など複数ありますが、スタートアップ企業におすすめなのはネット銀行での口座開設です。ネット銀行はインターネット上での取引がメインの銀行で、送金や振込もインターネット上で行えるのが特徴です。

本章では、スタートアップ企業目線で見たときのネット銀行を利用するメリットを解説します。

振込手数料が安い

ネット銀行は実店舗を持たず、オンラインでの取引が中心です。そのため、実店舗を維持する費用や人件費がかからず、比較的振込手数料が安く設定されています。

「今は振込回数が少ないから、どこでも大丈夫」と思っていても、今後事業が拡大し、取引が増える可能性もあります。振込手数料1件あたりの差額は小さくても、振込回数が増えるほど支出がかさみ、年間で数万円の差が生じることも考えられます。

以下に、メガバンク・地方銀行・ネット銀行の振込手数料の一例を一覧表で記載しました。

名称 振込手数料
同行あて 他行あて
都市銀行 三菱UFJ銀行
BizSTATION
110~330円 484~660円
みずほ銀行
みずほビジネスWEB
0~660円 490~660円
地方銀行 きらぼし銀行
ビジネスネット
0~220円 385~550円
ネット銀行 PayPay銀行 54円 一律160円
住信SBIネット銀行 無料 一律145円
GMOあおぞらネット銀行 無料 一律145円
楽天銀行 52円 150円~229円

これらの情報は、2023年9月時点での情報であり、各金融期間の公式サイトに基づいて作成しています。手数料は変更されている可能性があるため、実際に金融機関を選ぶ際には、必ずご自身で最新の一次情報をご確認ください。

口座維持にかかる費用が安い

都市銀行や地方銀行、信用金庫などではインターネットバンキングの利用手数料がかかる銀行も多いですが、ネット銀行は振込手数料と同様、低く抑えられている傾向にあります。規模が小さい企業や、スタートアップ企業にとって見逃せないメリットです。

メガバンク・地方銀行・ネット銀行の口座維持費の一例を一覧表に記載しました。

名称 月額基本料金
都市銀行 三菱UFJ銀行 BizSTATION 1,760円
みずほ銀行 みずほビジネスWEB 0~3,300円
地方銀行 きらぼし銀行 ビジネスネット 0~5,500円
ネット銀行 PayPay銀行 無料
住信SBIネット銀行 無料
GMOあおぞらネット銀行 無料
楽天銀行 無料

振込手数料・口座維持費の情報は、2023年9月時点での情報であり、各金融期間の公式サイトに基づいて作成しています。手数料は変更されている可能性があるため、実際に金融機関を選ぶ際には、必ずご自身で最新の一次情報をご確認ください。

いつでもどこでも手続きが可能

ネット銀行は、インターネット環境さえあれば24時間365日取引可能です。忙しくてなかなか窓口にいけない方や、オフィス以外で業務を行うことが多い経営者の方も、スムーズに手続きすることができます。

書類郵送などで生じるタイムラグを短くできる

不正取引を防ぐため、法人口座開設の際の審査は厳しく、所要時間が長くなっている傾向があります。事業の準備などが忙しく、時間に追われるスタートアップ企業にとっては機会損失になりえますが、ネット銀行は窓口に赴かなくても短期間で法人口座開設が可能で、業務に支障をきたしません。

法人向け特典がある

ネット銀行の法人口座には、口座に紐づいたデビットカードを利用することでキャッシュバックが受けられるなど他の金融機関にない特典が用意されていることがあります。

例えばGMOあおぞらネット銀行では、ビジネスデビットカードを利用することで現金還元率が最大1%になります。また、デビットカードを利用すれば即時引き落としができ、口座明細にもすぐ反映されるため、未払いの心配をなくすことができます。

手数料が低いだけでなく、法人ならではのお得な特典が受けられるという側面も、資金を節約したい企業にとって見逃せないポイントです。

法人口座を開設するネット銀行を選ぶ際の比較ポイント

一言にネット銀行といえど、機能や手数料はさまざまあります。この章では、これからネット銀行で法人口座を開設したい方に向けて、どんなポイントに注目して銀行を比較すればよいか解説します。

各種手数料の安さ

振込手数料の安さで比較すると、今後の支出をおさえることができます。

例えば毎月30件ずつ、3万円以上の金額を他行宛に振込した場合のコストで比べてみましょう。振込手数料が660円/件のA銀行は18,000円/月の手数料がかかりますが、145円/件のB銀行は4,300円/月となり、差額は13,700円にもなります。これを年間で換算すると185,400円もの差額となり、大きなコストの差が出てしまいます。

振込回数が多い場合や、今後より事業拡大を目指している場合は、手数料で金融機関を比較するのも一手です。

インターネットバンキングの利用可能時間

インターネットバンキングはオンラインで金融取引を行えるサービスのことで、各金融機関で提供されています。急な支払いが発生したときにも柔軟に対応できるので便利ですが、金融機関ごとに利用可能時間が異なるため、開設先選びをする際にはチェックすることをおすすめします。

また、海外との取引がある法人であれば、時差を考慮して24時間対応可能である金融機関がよいでしょう。銀行によっては「送金は15時まで」など制限を設けている場合もあるので注意してください。

ネット銀行での法人口座開設のための審査対策

銀行で法人口座を開設するためには審査を受ける必要があります。審査に通りやすくするため、特に以下2点に留意して開設の準備を進めましょう。

十分な資本金を用意しておく

資本金は企業の信用にかかわります。1円からでも会社を設立することはできますが、事業内容に見合った資本金を用意しておくと、審査時もスムーズです。最低でも100万円程度の資本金があると安心です。

住所や固定電話など、法人の実態を明瞭にしておく

口座開設の審査では、実態がある企業か判断するために、実在する住所かどうか確認されます。もし実在しない住所であった場合、審査に落ちる原因になりかねません。さらに、登記書類に記載されている住所と事業を行っている住所が違うなどの書類の不備も、審査に落ちてしまう原因になりえます。

また、事業内容が不透明だと、口座を不正利用されるのでは、という疑いをかけられてしまいます。Webサイトを整えるのも事業内容を伝える手段の一つです。銀行の担当者にも分かりやすく説明できるよう、事業に関する情報は事前にしっかり準備しておくことが大切です。

まとめ|費用をおさえたいならネット銀行での法人口座開設がおすすめ

ネット銀行での法人口座開設は、手続きの手軽さや法人向けの特典の存在など、さまざまなメリットがあります。特にコスト面で利用価値が高いため、費用をおさえて法人口座を開設したいなら、ネット銀行での口座開設がおすすめです。

※本記事で紹介している銀行からアフィリエイト広告の出稿を受けている場合があります。

よくある質問

Q1.ネット銀行にはどのような銀行がありますか。

ネット銀行はGMOあおぞらネット銀行や楽天銀行など、さまざまあります。なかでも、振込手数料が安く、法人口座開設までの時間が速い「GMOあおぞらネット銀行」がおすすめです。

Q2.ネット銀行で法人口座開設の審査のために必要な準備は何ですか。

審査落ちしないためには、銀行から十分な信用を得ることが必要です。例えば以下のポイントに留意して準備をすすめることが挙げられます。

  • 十分な資本金を用意しておく
  • 住所や固定電話など、法人の実態を明瞭にしておく
  • 事業内容を明瞭にしておく

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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