トランザクションレンディングとは?メリットと返済について解説

更新日:2024年01月28日

トランザクションレンディング

オンライン決済サービスを提供する企業などがサービスを利用するEC事業者に対して、過去の取引履歴データなどをもとに融資を行う仕組みを、トランザクションレンディングといいます。

トランザクションレンディングの3つのポイント

  • 決済サービスにおける過去の取引データをもとに融資を行う仕組みをトランザクションレンディングと言う。
  • トランザクションレンディングなら、リアルタイムな取引実績を参照することで早く簡単に融資を受けやすくなる。
  • トランザクションレンディングのサービスは、ますます多様化していくと予測される。

競争が激化する決済業界が融資事業に着目

EC(eレトリック・コーマスの略。電子商取引のこと)の普及拡大によって電子決済サービスの活用がより一般的になったことを背景に、ベンチャーを含む多くの企業が決済市場に積極的に参入しています。それによって市場競争に拍車がかかり、決済手数料の低価格化が進行。収益の減少傾向が見られるなか、決済市場の新たな可能性として日本国内でも注目されているのが、トランザクションレンディングです。

従来の融資と異なる点

決済サービスを提供する企業は、EC事業者の売上や来店者数、評判など、さまざまなデータの収集が可能です。これらのデータはEC事業者の収益性や将来性を分析し、融資の可否を判断するにあたって大きく役立つものであり、従来の金融機関とは異なるアプローチで融資事業を推進していくことができます。

トランザクションレンディングのメリット

トランザクションレンディングが注目を集めている理由は、貸し手側のメリットによるものだけではありません。借り手となるEC事業者にとっても、資金調達手段の選択肢が広がることは大きなメリットといえます。従来、資金が必要となった場合は、金融機関に融資を申請する流れが一般的でした。そのため、特に中小企業だと審査に時間がかかったり、信用性の問題から金利を高く設定されたり、第三者保証や担保を求められるという状況が多くありました。

トランザクションレンディングでは、収集した決済データを独自のアルゴリズムで自動分析して融資の可否を判断するため、審査にかかる時間が大幅に短縮、融資利率を抑えることもできます。金融機関の審査では決算書などの書類を根拠に判断されますが、トランザクションレンディングでは不要です。トランザクションレンディングで参照するのは取引実績などのリアルタイムの情報。この点も、つなぎ資金や運転資金を最適なタイミングで融資してもらえるメリットにつながります。サービスによっては、最短で当日の借入が可能なものもあります。

トランザクションレンディングの返済

トランザクションレンディングの返済方法は、従来の融資と同じ「元利均等返済」といった方法です。返済原資として、売上代金を用いる場合もあります。その場合、売上金が足りないと、別に現金での返済が必要になります。返済の期間は、3ヶ月から12ヶ月といった短期が主流のようです。

トランザクションレンディングの今後

市場競争の激しい決済業界においては、トランザクションレンディングの推進が利用者の満足度向上につながるとして、今後も積極的な展開が見込まれます。このような時代の変化を受けて、FinTech(フィンテック)企業との連携によって新たなサービスを提供する金融機関も増えつつあるため、トランザクションレンディングも多様化していくと考えられます。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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