商品有高帳とは~先入先出法と移動平均法での記帳~

更新日:2018年01月11日

洋服とハンガー

商品有高帳とは、商品ごとの在庫数や仕入原価を把握できる補助簿です。自社の経営状態を把握するには在庫の管理が欠かせません。何百、何千もの商品を取り扱っている場合、種類別の在庫数を確認するときに商品有高帳を活用します。

商品有高帳に記帳するときの注意点

「受入(仕入)」や「払出(売上)」があるたびに、商品ごとに数量、単価、金額を商品有高帳に記帳します。同じ商品でも仕入の時期や数量によって原価が異なる場合があるため、商品有高帳の受入と払出には、商品を仕入れた際の「原価」を記帳する点に注意しておきましょう。

払出原価の主な計算方法は2種類

また、どの時期にいくらの原価で仕入れた商品が残っているかを判断するため、商品を売上げた際の「払出原価」を決めなければなりません。払出単価を算出する方法として、主に「先入先出法」と「移動平均法」があります。

先入先出法を使った商品有高帳の記帳

先に仕入れた商品から売れたと仮定する「先入先出法」を解説します。

例)下記資料をもとに、商品有高帳へと記帳します。仕入単価の異なる商品は2行に分けて区分して記載します。

  
日付 摘要 品目 数量 金額
9月1日 前月繰越 りんご 10個 @250円
9月5日 仕入 りんご 20個 @240円
9月10日 売上 りんご 20個 @300円(売価)
9月20日 仕入 りんご 30個 @260円
9月26日 売上 りんご 25個 @290円(売価)
9月30日

月末のため商品有高帳を締め切る。

 

商品有高帳

りんご

日付 摘要 受入 払出 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額
9 1 前月繰越 10 250 2,500 10 250 2,500
5 仕入 20 240 4,800 10 250 2,500
20 240 4,800
10 売上 10 250 2,500
10 240 2,400 10 240 2,400
20 仕入 30 260 7,800 10 240 2,400
30 260 7,800
26 売上 10 240 2,400
15 260 3,900 15 260 3,900
30 次月繰越 15 260 3,900
60 15,100 60 15,100

売上総利益の計算方法は以下の通りです。

  • 売上高=13,250円(9月10日の売上6,000円+9月26日の売上7,250円)
  • 売上原価=11,200円(9月10日の払出欄2,500円+2,400円と9月26日の払出欄2,400円+3,900円)
  • 売上総利益=2,050円(売上高13,250円-売上原価11,200円)

移動平均法を使った商品有高帳の記帳

現在ある商品と新しく仕入れた商品の在庫の平均単価を計算し、販売した商品の原価を平均値として計算する「移動平均法」を解説します。移動平均法では下記の計算式で「平均単価」を割り出し、払出原価を設定します。

平均単価=
(残高金額+受入(仕入)金額) (残高数量+受入(仕入)数量)

例)下記の資料をもとに、商品有高帳へと記帳します。

日付 摘要 品目 数量 金額
9月1日 前月繰越 りんご 10個  @250円
9月5日 仕入 りんご 10個  @240円
9月9日 売上 りんご 18個 @300円(売価)
9月21日  仕入 りんご 28個 @270円
9月28日 売上 りんご 30個 @290円(売価)
9月30日

月末のため商品有高帳を締め切る。

 

商品有高帳

りんご

日付 摘要 受入 払出 残高
数量 単価 金額 数量 単価 金額 数量 単価 金額
9 1 前月繰越 10 250 2,500 10 250 2,500
5 仕入 10 240 2,400 20 245 4,900
9 売上 18 245 4,410 2 245 490
21 仕入 28 260 7,280 30 259 7,770
28 売上 20 259 5,180 10 259 2,590
30 次月繰越 10 259 2,590
48 12,180 48 12,180

売上総利益の計算方法は以下の通りです。

  • 売上高=14,100円(9月9日の売上5,400円+9月28日の売上8,700円)
  • 売上原価=9,590円(9月9日の払出欄4,410円と9月28日の払出欄5,180円)
  • 売上総利益=4,510円(売上高14,100円-売上原価9,590円)

商品有高帳を活用すれば棚卸の在庫数チェックを円滑にできる

今回は補助簿の補助元帳から、商品有高帳の使い方を解説しました。先入先出法と移動平均法の2つの方法は、取り扱う商品の性質に合わせて使い分けるとよいでしょう。商品有高帳に記帳した商品の仕入や払出の日付を参考にすることで、商品在庫の管理を強化できます。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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