当座預金出納帳とは~当座借越の二勘定制の仕訳~

更新日:2018年06月08日

当座預金出納帳

当座預金出納帳とは、当座預金の増加と減少に関わる詳細な情報を記帳する補助簿です。当座預金には小切手の降り出しも含まれます。1冊の当座預金出納長で1つの金融機関との入出金を記録するため、複数の金融機関との取引がある場合は、その分だけ当座預金出納帳を作成する必要があります。

当座預金出納帳の記帳

当座預金出納帳には入出金のあった日付を記帳し、「摘要」の欄には取引相手と内容を記帳します。「小切手」の欄には振り出した小切手の番号を記帳し、収入と支払にかかった金額をそれぞれ記帳します。「借/貸」の欄には当座預金の残高がある場合は「借」と記帳し、残高よりも多く引き出す場合は「貸」(当座借越)と記帳します。

例)7月1日に××商店から事務用品代として60,000円を仕入れ、小切手♯001を振り出して支払った。7月2日に●●株式会社に用紙代として15,000円を販売し、代金を小切手で受け取り当座預金に預入れた場合。ただし、取引銀行との間に、借越限度額を100,000円とする当座借越契約を結んでいるとする。

7月1日の仕訳

借方 貸方
仕入 60,000円 当座預金 50,000円
当座借越 10,000円

7月2日の仕訳

借方 貸方
当座借越 10,000円 売上 15,000円
当座預金 5,000円

上記の仕訳をもとに、当座預金出納帳へと記帳します。

当座預金出納帳
日付 摘要 小切手番号 預入 引出 借/貸 残高
前月繰越 50,000 50,000
7月1日 ××商店より事務用品代の仕入 ♯001 60,000 10,000
7月2日 ●●株式会社へ用紙代の売上 15,000 5,000

当座借越契約とは

当座預金の残高よりも高い金額の小切手を振り出すことはできませんが、預金残高が不足した際に備えて、取引先の銀行との間に「当座借越契約」を結ぶことができます。これは、残高の不足分を銀行が一時的に立て替えてくれるという契約です。立て替えてもらった分を「当座借越」といいます。

当座借越の仕訳は「二勘定制」と「一勘定制」がある

当座借越には「二勘定制」と「一勘定制」の2つの方法によって仕訳します。二勘定制では、預金残高がある場合は資産と考えて「当座預金」を、預金残高がマイナスになっている場合は負債と考えて「当座借越」を使い、2つの勘定科目によって仕訳します。一勘定制では、資産である当座預金と負債である当座借越を区別せずに、「当座」のみの勘定を使って仕訳します。上記の例で採用しているのは「二勘定制」です。

小切手や手形で決済しないなら

最近は、小切手や手形で決済する企業が減っているように思います。となると、当座預金出納帳の出番も少なくなるかもしれません。そういった方は、現金出納帳を正確に記帳することから始めましょう。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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