特別利益と特別損失とは~金額が大きくても問題はない?~

更新日:2023年02月07日

特別利益と特別損失

特別利益とは、その期だけ特別な要因によって発生した利益のことです。特別損失とは、その期だけ例外的に発生した損失のことです。いずれも一律で判断する基準がないため、会社ごとに判断して計上しています。今回は、特別利益と特別損失について簡単に解説します。

特別利益とは

特別利益とは、企業の通常の経営活動とは直接関わりのない、その期だけ特別な要因によって発生した利益のことです。経常利益と一緒にしてしまうと企業の収益力が過大に評価されてしまうおそれがあるため、経常利益と特別利益は別の区分とされています。

特別利益に該当するか否かは一律に判断できない

特別利益に該当するのは、会社にとって通常であれば発生しないような多額の項目です。それが特別利益に該当するかどうかは、臨時性と金額の大きさから個別に検討する必要があります。つまり、何が特別利益に該当するのかを一律に判断する基準はないのです。

特別利益の例

特別利益かどうかの絶対的な基準はありませんが、特別利益に挙げられる例を紹介しておきます。

  • 不動産などの固定資産売却益
  • 長期間保有している株式や証券売却による売却益
  • 引当金による戻入益
  • 債務免除による債務免除益
  • 前期の損益を修正することで発生した前期損益修正益

特別利益が大きくても評価されない

特別利益はあくまで当期だけの利益であり、翌期以降はまず発生しないと考えられます。そのため、特別利益として大きな金額が計上されていたとしても、それのみによって金融機関などに好印象を与えることは期待できません。

特別損失とは

特別損失とは、企業の通常の経営活動では発生しない、その期だけ例外的に発生した損失のことです。特別利益と同様に、特別損失に該当するかどうかについては一律に判断する基準がないため、臨時性と金額から個別に検討する必要があります。

特別損失の例

特別損失かどうかの基準はないものの、以下のような項目が特別損失として計上されています。

  • 不動産などの固定資産売却損や固定資産除去損
  • 長期間保有している株式や証券売却による売却損
  • 火災や自然災害、盗難などによる損失
  • 前期の損益を修正することで発生した前期損益修正損

特別損失が巨額でも信頼を失わない?

特別損失はあくまで当期だけの損失であり、翌期以降も継続的にこの損失が発生することはまずありません。そのため、特別損失として巨額の損失が計上されていても、それだけの理由で金融機関の信頼を失うことはないと考えられます。

特別損益とは?

経常損益が経常的に発生する損益であるのに対し、特別損益は、経常的には発生しない一過性の損益のことです。特別損益は、特別利益と特別損失の差額で求めます。特別損益は当期限りのものなので、単純に損益による評価をする際や将来予測をする際などは、特別損益を除外したうえで分析する必要があります。

特別利益と特別損失まとめ

  • 特別利益とは、企業の通常の経営活動とは直接関わりのない、その期だけ特別な要因によって発生した利益のことである。
  • 特別損失とは、企業の通常の経営活動では発生しない、その期だけ例外的に発生した損失のことである。
  • 経常損益が経常的に発生する損益であるのに対し、特別損益は、経常的には発生しない一過性の損益のことで、特別利益と特別損失の差額で求められる。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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