付加価値率とは何か?付加価値、付加価値生産性の求め方について解説

更新日:2024年01月19日

付加価値率

企業は、外部から購入してきた材料・部品に価値を付け加え、その「価値の部分」を売って利益を生み出しています。この「価値の部分」が付加価値です。ここで言う「価値」とは、たとえば独自のルートで商品を得たり、特殊な技術によって製品を開発したりするなど、他社では実現できない方法によって生み出された価値を指します。本記事では、付加価値率、付加価値、付加価値生産性の定義と計算方法について解説します。

付加価値とは

付加価値とは、財務分析で生産性を測るときに用いられる指標の一つで、労働手段を用いて新たに付け加えた価値を表すものです。付加価値の計算方法には、「控除法(中小企業庁方式)」と「加算法(日銀方式)」があります。一般的には、より簡便な「控除法」が用いられるようです。便宜的に、売上総利益(粗利)を付加価値とする考え方もります。

付加価値の求め方(控除法)

付加価値は、売上高から外部購入分の価値を差し引いたものであるという考え方に基づいています。

付加価値 = 売上高 - 外部購入価値

※外部購入価値:材料費、購入部品費、運送費、外注加工費など

付加価値の求め方(加算法)

付加価値は、製造過程で積み上げられていくものであるという考え方に基づいています。

付加価値 = 経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 減価償却費 + 金融費用 + 租税公課

粗付加価値と純付加価値

加算法で付加価値を計算するにあたり、減価償却費を含む場合を「粗付加価値」、含まない場合を「純付加価値」と呼びます。減価償却費は、他社から購入した固定資産を償却した費用であるため、本来は付加価値には含めないべき、という考え方があります。実務的には、粗付加価値が用いられることが多いようです。

付加価値率とは

付加価値率(売上高付加価値率)とは、売上高に占める付加価値の割合を示す指標であり、自社の加工度の高さ/低さを表しています。ここで言う「加工」とは、原材料から製品への加工だけでなく、サービスの付加なども含みます。平均付加価値率は業種によって大きく異なり、付加価値率は必ずしも企業の収益性と比例しませんが、付加価値率を高めることは収益性を向上させる方法の一つになります。

付加価値率の求め方

付加価値率(%) = 付加価値 ÷ 売上高 × 100

付加価値生産性とは

付加価値生産性とは、労働生産性(労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを数値化したもの)とも呼ばれる指標で、労働者一人あたりの付加価値額を表す指標です。付加価値生産性が高いほど、一人の労働者が生み出す付加価値が高いということになります。

付加価値生産性の求め方

付加価値生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数

たとえば、ある2つの会社で付加価値が同額である場合、従業員数の少ないほうが付加価値生産性は高くなります。

付加価値のまとめ

  • 付加価値とは、企業の生産性分析に用いられる指標の一つで、企業が労働手段を用いて新たに付け加えた価値を表すものである。
  • 付加価値生産性とは、労働者一人あたりの付加価値額を表す指標である。
  • 付加価値率(売上高付加価値率)とは、売上高に占める付加価値の割合を示すものである。

この記事の監修者

牛崎 遼 株式会社フリーウェイジャパン 取締役

2007年に同社に入社。財務・経理部門からスタートし、経営企画室、新規事業開発などを担当。2017年より、会計などに関する幅広い情報を発信する「会計ブログ」の運営責任者を継続している。これまでに自身で執筆または監修した記事は300本以上。

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